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大洗名物・ガルパン缶バッジ制作の担い手! 坂本 博[大洗町回覧板 こちらガルパン出張所]

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『ガールズ&パンツァー』の舞台・大洗で、より作品を身近に感じている方々に、作品と出会ったきっかけやエピソード、作品への思いなどを聞いていく『大洗町めぐり~大洗の今、そしてこれから~』。第4回は大洗町商工会事務局長/坂本文具店 代表 坂本 博さんにお話を伺いました。

『ガルパン』は大洗の雇用面でも助けていただいているんですよ。

──まずは『ガールズ&パンツァー』に関わられた経緯からお聞かせください。

プロデューサーの杉山潔さんから商工会の田山東湖会長にお話があったのが最初でした。そして田山会長は震災後で活気を失ってしまった大洗町を元気にするため、私と常盤良彦君や大里明君たち若手に『ガルパン』に協力するよう依頼をしたんです。そこで皆で一緒になってアニメを勉強しました。最初はアニメの人気もどうなるか分からなかった時期ですね。私たちも手探りの中、2013年の「海楽フェスタ」で店舗にキャラクターパネルを置いたところ、商店街にファンの方々が押し寄せるようになったんですよ。震災の影響でシャッター通りだった商店街に活気が甦りました。また商店街だけでなく磯前神社やシーサイドホテルにもお客さんが詰めかけ、田山会長が「大変なことになってるぞ」と驚いていたんですよ。あの時は一緒に町の様子を見に行きました。それが5年も続くなんてミラクルを越えた現象ですよ。お陰様でスタンプラリーも大盛況で、僕の知らない間に台紙が2回も増刷されていました(笑)。このように足を運んで下さる方が増え続けているのは有り難いです。これも『ガルパン』のお陰です。

▲坂本さんが勤務する大洗町商工会館。
受付前は『ガルパン』グッズ資料館となっており、缶バッジの販売も行われている

──失礼ですが、坂本さんは現在おいくつなのでしょう?

66歳になりました。去年の誕生日は「海楽フェスタ」当日だったので、職員がサプライズで僕の缶バッジを作ってくれました(笑)。本当なら60歳で定年なのですが、「ガルパンプロジェクト」として町の補助金をいただき、今もこうして働かせてもらっています。また僕以外にも3名のシニアが缶バッジ作りで働いているんですよ。皆さん真面目な方ばかりで助かっています。このように『ガルパン』には雇用面でも助けていただいているんですよ。

──坂本さんのお歳だとアニメーション作品には馴染みの薄い世代になりますよね。

そうですね。ただ小中学生の頃は週刊少年ジャンプを欠かさず読んでいました。好きだったのは本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』です。自分は硬派だったので(笑)。『ガルパン』は女の子達が真剣に戦車道を極める話じゃないですか。私もすんなり受け入れることができました。人気が長く続いてるのも頷けます。

──では実際に作品もご覧になられたのですね。

拝見しました。大洗が舞台の第4話を観たときは感動しましたよ。あそこまで描いてくださるとは思いませんでした。マリンタワーから商店街に行って、そして磯前神社が出てきて……その磯前神社も『ガルパン』で有名になり、お賽銭と絵馬の売り上げで社殿の修繕ができたそうです(笑)。

──お好きなチームはどこでしょう?

やはり主役のあんこうチームです。ウチ(坂本文具店)は西住さんのキャラクターパネルをいただいてますので。パネル用キャラクターの割り当てを決める時、常盤君と大里君が「みほちゃんは局長の店でないと」と言ってくれたんです。決して事務局長として圧力をかけたわけではありません(笑)。

──商工会は缶バッジ作りでも有名ですね。

週に2千個くらいのペースで作っています。ただ、それだけでは生産が追い付かないので、月に2回は全職員で缶バッジを作る日にしているんですよ。大洗のイベントで特に大きいのが「八朔祭」、「商工感謝祭」、「あんこう祭」、「海楽フェスタ」の4つで、その度に各商店から缶バッジの大量注文が来るんですよ。だから僕らはバッジの数で商店が賑わっていることが分かるんです。たとえば先日の「海楽フェスタ」ではシーサイドホテルさんが2千個、ガルパン喫茶が3千個と、計2万個の受注がありました。それとは別に商工会のぶん3千個も用意しなければならないので大忙しでしたね。これらの缶バッジは本来は買い物客に配布する販促物ですが、イベントの日では特別に100円で売っているんですよ。その売り上げは商工会の活動資金になっています。

▲「ガルパンプロジェクト室」と名付けられた一室では、職員である、倉持栄保さん 、山口建夫さん、高橋正儀さんが缶バッジ作りに励んでいる。ここで本人達も把握できないほどの種類のバッジが作られた

──昨年末に『最終章 第1話』が公開されましたが、大洗を訪れるファンに変化はありましたか?

先ほどお話しした「ガルパン街なかかくれんぼ」というキャラクターパネルの設置がすべての始まりでした。最初はパネルの裏にキャラクターの詳しい説明を書いていたんですよ。店のおじちゃんやおばちゃんがファンの方に対応できるようにね。そして訪れる方も最初は「パネルの写真撮っても良いですか?」くらいしか話さなかったのですが、何度も足を運ぶうちに店の人とコミュニケーションをとるようになりました。

──それは店の人達が話しかけやすい環境を作ってくれたからですね。

私もそう思います。商店街の人達には「おもてなしの心」がありますからね。やがて平日でも遠方からファンの方が訪れるようになり、ホテルに泊まったお客さんが商店街で買い物をしながら帰るんですよ。また最初は一人で来られる方が多かったのですが、やがて友達と一緒に来られる方や団体客も増えるようになりました。お陰様で震災で元気がなかった大洗に活気が戻りました。まさかアニメーションに街を救ってもらえるとは夢にも思いませんでしたよ。

──これまでの取材では「『劇場版』公開後に客足が増えた」と皆さん仰っていました。

『劇場版』公開翌年(2016年)からが凄かったです。特に「あんこう祭」はあまりにも多くの方がいらしたため、会場がパンクして多くの方にご迷惑をかけてしまいました。この時の経験から以降は警備の強化と駐車場の確保に努めるようになりました。そして『最終章』公開後は学生さんや若い人達の姿が目立つようになりました。最初の頃は戦車や自衛隊が好きな方が多かったのですが、今では20~60代と幅広い年齢層の方が訪れるようになりました。お子さんを連れた家族連れや、私と同じ60代の夫婦が来られたこともあります。
そして今年の正月三が日は、磯前神社に32万人もの参拝客が訪れたんですよ。去年の25万人よりも7万人も増えて、社殿前の階段が参拝客で一杯になったそうです。

──『劇場版』であんこうチームとプラウダが戦車で降りた階段ですね。

そうです。参拝者の列はシーサイドホテルまで続いたんですよ。そんなことが起きたのは20年ぶりだそうです。また2月の「チャリティゴルフコンペ」や「海楽フェスタ」と同日に開催した「シネマティック・コンサート」も大勢の方が来てくださいました。その「海楽フェスタ」に合わせてキャラクターパネルを追加したんですよ。それを写真に撮るため大洗に来てくださる方もいましたね。

──今後企画されていることはありますか?

今後も缶バッジ作りに終始したいと思います。年間のスケジュールが小規模なイベントも含めて埋まっているので現状維持が一杯一杯なんですよ(笑)。あと内々の企画ですが、大洗に移住してきた方のウェルカムパーティをやろうと思っています。

──その人達は『ガルパン』に感銘を受けて移住されてきたのでしょうか?

移住者は100人くらいいるのですが、そのうち58人はファンと公言されている方だそうです。実は大洗には後継者がいなくて店じまいした店もあったんですよ。今はまだ元気なのでお店を続けていますが、ブームが終わったら店を閉めようとしているおじいちゃんおばあちゃんもいます。そんな中、この街に若い人達が移住してくれるのは本当に有り難いことです。あとバンダイナムコアーツさんにお願いがあります。

──なんでしょう?

お陰様で「シネマティック・コンサート」は大盛況でしたが、毎年オーケストラを呼ぶのは大変だと思うんですよ。そこで次回の「海楽フェスタ」では夕方に上映会などを開いていただけないでしょうか? 「海楽フェスタ」のお客さんは絶対に映画も観ると思うので。

──伝えておきます。では全国のファンにメッセージをお願いします。

大洗を元気にしてくれた『ガルパン』とファンの皆様に感謝、感謝です。私自身も『ガルパン』が今後どんな展開になるのか楽しみにしています。『最終章』はあと5本あります。自分は最後まで続けられないかも知れません。イベントの度に身体が疲れちゃうんですよ(笑)。企画立案は若い人達がやるけど、実作業には僕らも関わりますからね。でも5年前、常盤君と大里君に言われたとおり、関わり続けてきて良かったと思います。でもあの2人、私に無茶を言う時はいつも「こそこそ作戦」なんですよ。用事だけ伝えてさっさと逃げるんです(笑)。

──最後に次のインタビュー相手のご指名と、その方へのメッセージをお願いします。

「曲がり松100円商店街」などのイベントで頑張っている山戸章弘君を推薦します。彼には「山戸君、これからもタオル作りに精を出してください」とお伝えください。

PROFILE

坂本 博(さかもと ひろし)
1952年3月19日生まれ、大洗町出身。地元で「サカブン」の愛称で親しまれる坂本文具店を営み、その一方で大洗町商工会事務局長として活躍。商工会名物の手作り缶バッジを10秒に1個のスピードで作る腕前を誇る。ご自身のパネルもサカブンに設置され、地元はもちろん大洗を訪れるファンからも親しまれている。

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