インタビューココだけ | チア男子!!

2016年7月TVアニメ化決定!『チア男子!!』吉村愛×吉田玲子スタッフインタビュー全文掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

戦後最年少の直木賞作家となった朝井リョウ原作による傑作青春小説『チア男子!!』が2016年7月より待望のTVアニメ化! 人を応援することで主役になれる、世界で唯一のスポーツ“チアリーディング”に青春を懸ける、ちょっとワケアリのキュートでおバカな男子大学生たちが繰り広げるチアアップストーリー。そこで今回は、監督の吉村愛さん&シリーズ構成の吉田玲子さんにインタビューを敢行。二人が語るキャラクターの魅力や作品の注目ポイントとは?

キャラクターがアニメーション向きというか、一人ひとりしっかり立っている

──まずは本作『チア男子!!』に携わることになった経緯から教えてください。

吉村 本作の制作を担当されるブレインズ・ベースの齋藤プロデューサーから声を掛けて頂いたのが最初です。細かく言うと、齋藤さんから「まだ企画の段階なんですけど、監督のところにとりあえず名前を書いておいても良いですか?」と頼まれたので、そういうことなら「別に構いませんよ」って本当に最初は軽い感じでした(笑)。そうしたら、「決まりました」と大分経った後に言われました(笑)。「えっ、決まったの?」って。じゃあ頑張りますみたいな、そんなところから始まった感じですね。朝井(リョウ)先生の原作のことは最初から知っていたのですが、その時はまだちゃんと読んだことがなかったんです。それで改めて読ませて頂いて、アニメ化に向いている作品だなと思いました。

吉田 私も齋藤さんから声を掛けて頂いて、「こういう作品を企画しているんですけど、どうですか?」と聞かれ、原作を頂いたのが作品に携わることになったきっかけですね。

──本作は朝井リョウさんの小説が原作となりますが、小説を読まれた印象や感想を教えてください。

吉村 キャラクターがアニメーション向きというか、朝井先生の作品だと『桐島、部活やめるってよ』のイメージが強いせいかもしれませんが、もう少しシリアスな感じなのかなと最初は思っていたんです。でも、いざ読んでみたら全然違っていて、すごく読みやすくて、キャラクターも一人ひとりしっかり立っているなっていう印象を受けましたね。

吉田 読後感が清々しくて、男子がチアリーディングをするという題材も非常に面白いなと思いました。ただ、チアリーディングをアニメーションでやるのは結構ハードルが高いなっていうのは懸念としてありましたね(笑)。ライトノベルがアニメ化されることに比べて、一般小説がアニメ化されることは割と少ないので、そういう意味では面白いというか、やりがいみたいなものは感じています。

──原作者の朝井リョウさんとお会いになった際は、どんなお話をされたのですか?

吉村 とても気さくな方で、小説家の先生という感じは全くしなかったですね。もちろん良い意味でなんですけど(笑)。色んなところにアンテナを張られていて、私たちが質問するというよりは、逆に私や吉田さんがアニメーションに関することを質問されたりして。あと、お話もすごく上手で、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。

吉田 この『チア男子!!』という作品を書かれた作家さんだなという印象を受けました。イメージと作品が近いというか、お若いということもあるかもしれませんが、とてもエネルギッシュな方でしたね。アニメーションというものがどういう過程を経て作られているのかを聞かれたり、ご自身が取材者の観点から話をされているような感じでした。朝井先生の作品でアニメ化されるのは今回が初めてだと思うので、これからどういうことが起こるのか、ワクワクされているみたいな感じでしたね。本当に小説家として作品のヒントというか、題材になりそうなものを日々探しているというか、好奇心が強い方なんだなって思いました。

原作者の方が何を一番大切にされているのかっていうことは常に考えます

──原作のある作品をアニメ化する際、意識されていることなどはありますか?

吉村 他の作品でもそうなんですけど、基本的には作品の良いところだったり、持ち味は絶対に壊してはいけないと思っているので、それに沿った中で、どれだけ遊べるかっていうことを考えながら取り組んでいる感じですね。その作品のファンの方たちに訴えかけるものと、作品を知らない方にその作品を好きになってもらうという作業が、原作のある作品のアニメ化ならではなのかなと個人的には思っています。

吉田 やはり原作者の方が何を一番大切にされているのかっていうことは常に考えますね。あと、アニメーションには山と決着点が1話毎にあるので、それをどう見せていくのかを考えつつ、作品としてどこを目指すのか、アニメーションとしてはどういう方向で制作するのかという部分はしっかりないとアニメーションにする意味がないと思うので、そこは自分の中で大切にしています。

──原作と同様に、アニメも早稲田大学の男子チアリーディングチーム「SHOCKERS」を取材して制作しているそうですが、どんな取材をされたのですか?

吉村 最初はチアリーディング自体を生で観たことがなくて、しかも、メンバーが全員男性というのも初めてだったので、まずどんなものなのかなっていう興味がすごくありました(笑)。実際に観させて頂いたら、すごい迫力があって、とても感動しましたね。そこから割と細かい部分に踏み込んでいって、一つひとつの技のことだったり、その技のポイントはどこなのかだったり、本当に細かいところまで確認させて頂いているといった感じです。

吉田 吉村監督と一緒に大会を観に行ったり、練習を拝見させてもらったり、何度か実際の演技を観させて頂きました。その練習の後にはメンバーの方たちに話を聞かせて頂いたりもしましたね。あと、本読みの時もチームのOBの方に来て頂いて、色々と監修をしてもらっています。

──それは技の解説・演技などについてということですか?

吉田 そうですね。作中の演技構成なども考えてもらっています。

吉村 あと、実際にチアリーディングをするためのトレーニングとはどういうものなのか、練習の内容だったり、トレーニング方法だったり、チアリーディングをやっている人ならではの話を伺いつつ、アニメに落とし込んでいます。

本作での一番の見せどころであるチアリーディングのシーンに注目

──ここまでの作業で大変だったことや苦労されたことは何ですか? これからの作業のことでも構いませんので教えてください。

吉村 今はシナリオ作業が大詰めの段階を迎えている状況で、これから絵コンテの作業に入っていくのですが、やっぱりチアリーディングの演技をアニメーションで見せるのはかなり大変な作業になるんじゃないかなって、戦々恐々としています(笑)。

吉田 メインキャラクターが16人いるので、やっぱりキャラクターが多いっていうのは、私も含めて他のライターさんも苦労されているところですね。登場するからには、一人ずつ特徴をつけて個性を出して、良い部分を見せてあげたいと思っているので、そういう意味では目配りが大変ですね。

──本作の主人公であるハル(坂東晴希)と、そんなハルの幼馴染みであるカズ(橋本一馬)というキャラクターの魅力はどこにあると思いますか?

吉村 原作ではストレートな青春ドラマが描かれていて、ハルもカズも今のリアルな大学生というキャラクターの印象だったんですけど、アニメーションではもう少し各キャラクターに個性をつけていこうと考えています。ハルは人見知りで、割と等身大に近い最近の学生のイメージなのかなと。一方のカズは太陽のような存在で人を惹き付ける魅力のあるキャラクターなんですけど、そんな彼もトラウマを抱えていて陰がありつつといった感じなんです。簡単に言うと、出来る子と出来ない子みたいな位置付けにはなっているんですけど(笑)、ハルが出来ないというよりは、カズが出来すぎるキャラクターなのかなって思いますね。

吉田 吉村監督が仰っていたように、ハルとカズは割と対照的な二人ですね。でも、二人は幼い頃からの友達で、ずっと一緒に柔道をやっていたんですけど、考え方などは違っていて、そんな二人がまた一緒に新しいことを始めるというところが、この作品の面白いポイントなのかなと思います。なので、どちらか一人が主人公というよりは、二人が揃って主人公というか、ダブル主人公という気がしていますね。

──今回のアニメ化で力を入れている点を教えてください。

吉村 やっぱりチアリーディングをしているシーンということになりますね。本作での一番の見せどころですし、そこに尽きると思います。楽しみにしていてください。

──シリーズ全体を通しての注目ポイントを教えてください。

吉田 チアリーディングって人を応援するスポーツなんです。戦うスポーツではなく、応援するスポーツをやることで、各キャラクターたちがちょっとずつ変化していくことになるんですが、そこがシリーズを通しての注目ポイントになるのかなと思います。

観終わった後に、心地良さや爽やかさが残るような作品に

──本作はチアリーディングというスポーツに青春をかける男子たちの物語ですが、チアリーディングというスポーツに対して、本作に関わる前はどんなイメージを持たれていましたか?

吉村 最初のイメージはどちらかというと応援団に近いのかなって思っていました。日本ではまだそんなにメジャーなスポーツではないのかもしれませんが、大会とかを取材させて頂くと、すごい盛り上がっていますし、競技としてのルールなどもしっかりあって熱量がすごいんです。もちろん、その大会に向けて良い演技をするために、ほぼ毎日練習してストイックな生活を送られていたので、青春感が半端ないなって思いました(笑)。

吉田 最初、男子がチアリーディングをするって一体どういう人たちがやるのかすごく興味があって、ただの目立ちたがり屋なのかなって思っていたんです(笑)。でも、取材させて頂くと全然そんなことはなくて、自分たちも楽しみたいし、人にも楽しんで欲しいという、エンターテインメントの精神をすごく感じました。その一方で人が高く飛ぶ技があったりして、一瞬の気の緩みが大きな事故に繋がるスポーツなので、そういうところはすごくストイックにやられていて。そのギャップが面白いなって思いました。

──どんな人に作品を観て欲しいですか? 本作で描きたいテーマなどがあれば教えてください。

吉村 チアリーディングに興味がある人はもちろん、よく知らない人が観ても楽しんでもらえる作品にしたいと思っています。

吉田 何か新しいことを始めたり、人と出会ったりすることが自分を変えていくというか、新たな一歩を踏み出すきっかけになるような作品にしていければと思っています。そういうものを彼らの個性とキャラクターで見せていくことができれば良いですね。

──では最後に、アニメ化を期待しているファンへメッセージをお願いします。

吉村 あまり馴染みのないスポーツだとは思いますけど、エンターテインメントしている作品なので、そのあたりを楽しんでもらえればと思っています。スポ根ものというよりは人間ドラマを丁寧に描いていくつもりでいますので、楽しみに待っていて頂けると嬉しいです。

吉田 観終わった後に、心地良さや爽やかさが残るような作品になるんじゃないのかなと思っています。観た方が明日も頑張れるような、心が晴れるような気持ちになれる作品を目指していきますので、応援宜しくお願い致します。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

吉村愛(よしむらあい)
アニメーション監督。サンライズ第五スタジオ出身。様々な作品の絵コンテ・演出などを経て監督に。主な監督作品に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『アオハライド』などがある。

PROFILE

吉田玲子(よしだれいこ)
脚本家。主な代表作に『デジモンアドベンチャー』『けいおん!』『ガールズ&パンツァー』『弱虫ペダル』などがある。脚本と同時にシリーズ構成も担当することが多い。

<原作情報>

チア男子!!
著:朝井リョウ
好評発売中!
価格:¥760(税抜)
発行元:集英社文庫

<コミカライズ情報>

チア男子!! -GO BREAKERS-
原作:朝井リョウ/漫画:近藤憲一/監修:大澤雅仁
少年ジャンプ+にて好評連載中!
毎週火曜配信

チア男子!! 公式サイト

続きを読む

関連タグ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

インタビュー

© Bandai Namco Filmworks Inc. All Rights Reserved.