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『薔薇王の葬列』キャスト座談会 斎賀みつき(リチャード役)×緑川光(ヘンリー役)×三上哲(ウォリック伯爵役)×天﨑滉平(エドワード王太子役)

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中世イングランドを舞台に、王位争奪を繰り返すヨーク家とランカスター家の戦い、薔薇戦争を描くダークファンタジー『薔薇王の葬列』が連続2クールで2022年1月~6月に放送。リチャード役の斎賀みつきさん、ヘンリー役の緑川光さん、エドワード王太子役の天﨑滉平さん、ウォリック伯爵役の三上哲さんに、1クール目を振り返っていただき、本作の見所やそれぞれのキャラクターへの思い、2クール目への期待などを語ってもらった。(※本記事は、2クール目に突入する2022年4月に公開されたインタビューです。)

──連続2クールアニメとして折り返し地点を迎えましたが、改めてストーリーの感想を伺えればと思います。

斎賀1クール目が終わり、すごくシリアスな展開になってきました。リチャードにとって、とてもつらい状況で、演じていても苦しかったところです。ヘンリー、エドワード(王太子)、アン。自分に好意を向けていた人が、どんどんいなくなってしまい、本当の味方がいなくなってしまいます。ケイツビーは側にいるけれど、彼はもう居て当たり前という感じなので、他に自分と同じ目線で話してくれる、ともに歩いてくれる人がいない絶望の中にいる状態です。ヘンリーとの関係の変化を経て、リチャードがどのように進んでいくのか。モヤモヤする部分はありながらも、今後の展開に期待が膨らむところじゃないかなと思っています。

緑川シェイクスピアをあまり読んだことがなかったので、原作を読み進める中で気になったところを調べていきました。史実に基づいているとは聞いていたけれど、「これも史実なの?」と驚くところもたくさんありました。その発見が面白くて、全編通して楽しみながら演じました。ニアミスが続いたけれど、ヘンリーはリチャードの光という存在として、最後は一緒になってほしいという願望が個人的にはありました。なのに、光から一気に闇の存在となってしまって、演じるトーンもガラリと変わりました。ずっと言われ続けてきたディレクション、「HEAVEN(ヘヴン=天国)で!」 「もっとHEAVENに!」から一気に「HELL(ヘル=地獄)」に行ったときには、なるほどと思いました。今までのHEAVENがここで効いてくるのか、とディレクションのすごさを改めて実感しました。光から闇に行くのは気持ち的にはつらかったけれど、演じるのはすごく面白かったです。

三上観ていてもつらかったです。

斎賀それ以上言ったら、リチャード壊れちゃうから!っていうくらいの落とし方、緑川さんの演技が流石すぎて。リチャードの今後の展開への説得力しかないシーンになっています。見所です!

緑川そこが映像の面白いところですよね。原作や台本で物語は知っているけれど、説得力という部分で貢献できたらいいなと、演じる身としていつも思っています。盛り上がるシーンでした。

天﨑とてもつらいシーンだけど、「緑川さん、流石!」と思いました。僕は、エドワード王太子役に決まってから原作を読みました。結構複雑な物語なので、「アニメにするのは大変だろうな」と思っていましたが、すごく面白くて一気に引き込まれました。実際にこんなドラマチックな出来事があったのかと驚きながら、どんどん没頭してしまって。気づけば、いち読者として原作を楽しんでいました。原作の魅力を活かし丁寧に描かれているアニメで、とても素敵だなと感じています。

三上シリアスな物語で、すごく重厚感があるという印象です。1クール目でランカスターが滅んで一件落着かと思いきや、また次の悲劇が生まれて。王冠を目指して、それぞれの思惑が動いて、悲劇を繰り返す。誰も幸せになれなくて、本当につらいです。でも、実際にあった話だから、気になるところの史実を調べて「そうだったのか」と初めて知ることも多くて。それが僕自身の作品の楽しみ方にもなっています。原作だと、名前が同じ人が出てくると戸惑ってしまうこともたくさんあって。例えば、エドワードにしても、リチャードの兄とヘンリーの息子の王太子もいるので(笑)。アニメだと違いが明確になるので、物語の理解が深まるのもいいですよね。

──シェイクスピアらしい独特の言い回しも感じられるセリフも本作の見所です。グッと来たセリフや思い出に残っているセリフはありますか?

斎賀リチャードはモノローグが多くて、ずっとしゃべってる印象しかないです(笑)。

緑川よく誰がどのくらいしゃべったかって、文字数計算して書いてあったりするけれど。1話分でものすごい量だから、トータルだとすごいことになるんじゃない?

斎賀数字で見たら、腰抜かしそう(笑)。「リチャード、心の中でしゃべりすぎだよ」ってツッコミ入れていたくらい多かったです。

天﨑思い出に残っているのは第11話でエドワード(王太子)が「私が貴様らの王だ!」と宣言するセリフです。王になればすべて手に入れられるという思いが強くあるエドワードが、最後にみんなの前で気持ちをあらわにした、とても印象深いシーンです。実際には叶えられなかったけれど、彼の中でリチャードにちゃんと「好きだ」と言えたところにもグッときました。この一連のセリフは個人的に心に強く残っています。

斎賀すごく泣けるシーン! 天﨑さんの声が入ったのを聞きながらアフレコしたのですが「泣いちゃう、止めて!」と思いました。と同時に、エドワードは本当に王子だったんだなと気づいたシーンでした。根っこはしっかりしていて、本当にまっすぐ育っていたんだねと感じ、彼に対するイメージが変わりました。

三上僕のお気に入りは、何度も言ってますが(笑)。

斎賀出た!

三上ウォリックがせっかくフランス王の妹・ボーナとの婚約にこぎつけたのに、(ヨーク家の)エドワードはエリザベスと結婚してしまいます。「私とその女、どっちを取るのです!」というウォリックのセリフは本当に最高だし、それに対するエドワードの返し「私は愛を取る!」ってすごいですよね(笑)。あのセリフが史実にあるのかも気になっているので、じっくりと調べたいと思っています。あともう1つは、ウォリックの娘・イザベルとジョージがいい雰囲気になっているところに「もう一杯、いかがですかな?」と割り込むところ。お父さん、本当邪魔な感じで気に入っています。

斎賀三上さんがあちこちでそのセリフを出すから、もう面白ポイントみたくなってますよね(笑)。

緑川シェイクスピアらしい言い回しに詳しくないけれど、羊飼いの説明をするセリフとか、僕の中では新鮮でした。

斎賀ヘンリーは詩的なしゃべり方するよね。

緑川そうそう。羊飼いのくだりがずっと好きなセリフだったけれど、最終話付近でさらに好きなセリフが出てきました。詳しくは言えないけれど、「なるほどね」という感じで。

斎賀確かに。いろいろ繋がっていった感覚がありましたよね。

緑川連載の最終回とアフレコを同時期にやれるなんてそうそうないことだから、ちょうどいい感じに高まって、すごくラッキーだと思いました。

──ダークファンタジーでありながら、暗い中に現れる光の描写など独特の美しさのある絵画のような作品です。映像の印象や好きなシーンを教えてください。

斎賀ポイントポイントで切り絵のようなものが入ってきたり、モブの人の顔をはっきり描いていないところが面白いです。

天﨑面白い表現ですよね。

斎賀観ている人に表情を想像させるためでもあるのかなと思っています。

緑川しっかり描き込んであったら、なんとなく知っている話だけに、ちょっとお腹いっぱいになるかも。あと、人が死にすぎる問題もあるから、生々しさも出ちゃうと思うし。

三上リアルに描いたら大変だよね。だから象徴的な油絵っぽいタッチの表現が効いてくる気がします。

緑川おとぎ話テイストでいいなって思います。漫画と違って、アニメは動きも入ってくるので、表現の調整が必要になってきますよね。

三上リアルすぎると「わっ!」ってなるシーンが多い作品だし。

緑川毎週、血しぶきが(笑)。

斎賀みんな怖い顔や険しい顔してるだろうしね。だからこそ、切り絵や色の表現が活きてくる。観る側が理解しやすい表現にしている印象があります。

天﨑スポットライトが当たっている表現とか、演劇を見ているような感覚になります。

斎賀ヘンリーはいつも光っていて分かりやすいですよね(笑)。

緑川画は割と、想像力を膨らませてくださいという要素が多いからこそ、芝居にかかるウェイト的なことは求められた気もしています。

斎賀確かに。情報を入れすぎないことで想像してくださいというシーンもあれば、ウォリックの面白いシーンみたいなところでは表情をしっかり描き込んでいて。そのバランスがすごくいい作品です。

天﨑ウォリックの眼力とかは、すごく丁寧に描かれていましたよね(笑)。

──それぞれのキャラクターがさまざまな思いを抱えています。リチャードを取り巻く人間関係の中で、自身が演じた役、また他のキャラクターの心情で胸が締め付けられたり、心が動かされたりしましたか?

斎賀みなさんの芝居がすごすぎて、毎話誰かしらに胸を締め付けられました。ウォリックが訴えかけるシーンや、エドワード(王太子)が感情をあらわにするシーンのように、今まで見せなかった感情を爆発させるシーンはグッときます。それの最たるものがヘンリーの変貌です。落差というのかな、リチャード的にはどうしても心がざわつきます。

天﨑僕的にはエドワード(王太子)が死んだ後のマーガレットがグッときました。

三上分かる!

天﨑あのシーンは本当につらかったです。母としてのマーガレットというのかな、人間臭いマーガレットが見られるとは思っていなかったので。

三上最初は残酷なだけの人、と思っていたけれどそうじゃなかった。息子であるエドワードを含めて、守るべきものがあったんだね、って。

斎賀お母さんだったんだね、ってなりました。ヘンリーがダメダメ王だったから(笑)、マーガレットが王の役目も果たさなければいけなかったわけだし。

三上ランカスターを背負ってね。でも、やっぱり王妃である前に、母だというところでグッときたし、つらかったです。

斎賀好きになれるかどうか、と訊かれたらまだ「好き」とは言えないけれど……。

三上確かに。でも、マーガレットを見直したシーンです。

天﨑マーガレットの心が見れてよかったです。

緑川僕は“白いの”がかわいくて、いつも心が締め付けられています(笑)。最初はマスコット的な感じだったのに、実はすごい、ね。詳しくは言えないけれど。

斎賀確かに。最後の方にいいシーンがあるのでお楽しみに、ってことで。

緑川愛らしいだけではなく、何か意味はあるんだろうなとは思っていたけれど。ここかー! ってね。

三上リチャード三世の旗印は白い猪ですしね。

緑川やっぱり意味はあるんですね。また調べたいことが増えたなぁ。

斎賀なんで? と思うところには大抵意味がありますよね。

三上だから史実を調べたくなるんです。

斎賀アフレコのときは線画だからそれほど気にならないけれど、映像になると「どういう意味かな」ってなりますよね。

天﨑これまでのお話で気になったところの情報を入れてから、2クール目をみるといろいろと見え方も変わってくるかもしれません。

──自分の置かれた境遇や、人生の選択、そして愛について考えずにはいられない作品です。「もし自分が○○の立場なら、こういう選択をする」という「もしも」を想像していただけますか?

緑川もしも僕がヘンリーなら。最後は自分のトラウマを乗り越えてリチャードの光になってほしかったと、ずっと思っています。

斎賀そうですよね。

緑川史実があるから、あの結末になることを頭では理解しています。でも、せっかく積み重ねてきたからこそ、2人の関係がうまくいくハッピーエンドを期待したのに、最悪の結果になってしまうのはやっぱり悲しいです。実際に自分がヘンリーのトラウマを体験していないので、そう望んでしまうのかもしれないけれど、がんばって乗り越えてすべてを受け入れてほしかったという気持ちがあります。だって、2人がうまくいったら、戦争だっておさまって、幸せな時代が訪れていたかもしれないし。

斎賀確かに。あのときリチャードは本当にすべてをかけてヘンリーと向かい合ったから、余計にそう思いますよね。

天﨑僕がエドワード(王太子)だったら、自分の身代わりで戦地に行ったアンの後は追わないかもしれません。目が覚めても、寝たふりしちゃうかも。

三上男気見せて戦地に飛んで行ってたよね、エドワード。

天﨑エドワードが戦地に行かずに止まれば、ランカスターの血を絶やさずにすんだかもしれない。そういう選択肢もあると思うんです。王になるものとして。

斎賀アンは乗馬が得意だから、もしかしたら逃げ切れていたかもしれないしね。

天﨑リチャードだって、アンと対峙したらどうなっていたか分からないし。

斎賀確かに。私がリチャードだったら……。すごく困る(笑)。どうにもならないからといって引きこもっていられるような性格でもないし……。もうちょっと明るく考えていたら、とも思ったりしたけれど、境遇が境遇だからそう簡単に割り切れることではないですよね。私は喧嘩したくないタイプなので、だれか話せる人を探すかも。いろいろと話せていたら戦わずにすんだ、何か違っていたのかなと思ったりもします。

三上僕はヨーク家のエドワードだったら……愛は取らないです。

緑川根に持ってる(笑)。

三上愛は取らず、国のためにフランス王の妹と結婚します。でも、エリザベスに惚れちゃってるからなぁ。

緑川一旦、ウォリックの気持ちを忘れてください。

三上そっか(笑)。僕が(ヨーク家の)エドワードだったらエリザベスに「愛人じゃだめかな?ちゃんと通うから」って説得します。それができていたらフランスといい関係が続いて、しばらく安泰だったはずですし。

──天﨑さん、三上さんへの質問です。第1クール内で人生の終焉を迎えたエドワード王太子、ウォリック伯爵について。それぞれの展開について感じたこと、最期まで演じ切った今の思いなどをお聞かせ下さい。

天﨑自分のキャリアの中で、亡くなる役はあまりやったことがありませんでした。亡くなることが分かっていたので、1シーン1シーン大切に生きなければという思いで演じました。どのシーンも大切な時間でしたし、丁寧に演じるよう心がけました。エドワードはいなくなってしまいましたが、彼が生きた意味、証のようなものは、いろいろなところに残っています。エドワードを思い出しながら、最後まで楽しんでほしいです。演じられて幸せな役でした!

三上憧れていたヨーク公が亡くなり、その息子、カリスマ性のある(ヨーク家の)エドワードを盛り立てていこうと決意したのに、裏切られてしまった結果、悪ウォリックになってしまいました。でもそのエドワードの腕の中で最期を迎えられたことは、ウォリックにとって幸せだったと思います。途中いろいろ怪しい動きもして「何やってるんだ」という感じもあったけれど、最期、息を引き取るシーンはよかったと思ったし、ウォリックの人生を全うしました。

──斎賀さん、緑川さんへの質問です。第1クール、リチャードとヘンリーの最終回で迎える結末、第2クールでの注目ポイントをお願いします。

緑川ヘンリーにはリチャードを受け入れてほしかったので、自分の気持ちとしては不本意ですが、見事にHEAVENからHELLに行けたこと、役を全うできたと思っています。2クール目ではティレル役を演じます。原作では明言されていませんが、僕の見解としてはヘンリーと同一人物のつもりで演じました。ヘンリーっぽさを残したクールキャラというイメージです。すごく難しい役でしたが、そう演じたことの意味を感じられるシーンが後々登場するので、そのあたりを感じ取って楽しんでいただけたらうれしいです。

斎賀アニメから『薔薇王の葬列』に入った方は、今後どうなってしまうんだろう、とドキドキしていると思います。リチャードにとってはかなりショックな展開になってしまいますが、どうやってリチャード三世になっていくのかも大きな見所です。2クール目もさまざまな事件が起こります。薔薇戦争についてもたくさん調べていただき、その史実がアニメでどう描かれていくのか注目してください。菅野文先生が描いた独特の美しい世界観の中で、みなさんが納得できるような形でお届けできるよう思いを注いで作り上げました。しっかりと見届けていただければと思います。

斎賀みつきさん、緑川 光さん、三上 哲さん、天﨑滉平さん
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PROFILE

斎賀みつき(さいが みつき)
6月12日生まれ、埼玉県出身。主な出演作に『魔入りました!入間くん』オペラ役、『キラッとプリ☆チャン』ソルル役、『ドリフターズ』那須与一役などがある。

PROFILE

緑川 光(みどりかわ ひかる)
5月2日生まれ、栃木県出身。主な出演作に『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のリリア・ヴァンルージュ役、『新機動戦記ガンダムW』のヒイロ・ユイ役、『あんさんぶるスターズ!!』天祥院英智役などがある。

PROFILE

三上 哲(みかみ さとし)
6月8日生まれ、栃木県出身。主な出演作に『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』ダグ・ビリンガム役、『さんかく窓の外側は夜』半澤日路輝役などがある。洋画の吹き替えではベネディクト・カンバーバッチを多く担当している。

PROFILE

天﨑滉平(あまさき こうへい)
10月22日生まれ、大阪府出身。主な出演作に『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』キリル・ヴルーベリ役、『あんさんぶるスターズ!! -Road to Show!!-』白鳥藍良役、『Re:ゼロから始める異世界生活』オットー・スーウェン役などがある。

 

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