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4月24日「AKIRA 4Kリマスターセット」発売記念!4月3日上映開始「AKIRA 4Kリマスター」IMAX®体験レポート

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4Kリマスターにより“映画”として新たな進化を遂げる『AKIRA』

 映像メディアは、10年ごとに新しい技術が世に現れたと言われている。最初の家庭用ソフトとして普及したVHS規格のビデオテープが一般化したのは、1970年代後半。それから約10年後の1980年代後半には、高画質の大容量デジタル記録媒体としてのレーザーディスク(LD)が新しい映像メディアとして注目を集めていた。『AKIRA』が公開された1988年頃には、LDプレイヤーが一般家庭でも気軽に購入できるようになり、当時の劇場公開に合わせて、映画の予告編と大友克洋監督からのメッセージが収録された『AKIRA』LD付き前売り券が発売されている。『AKIRA』という作品は、スタートダッシュの段階から映像メディアと縁が深い作品だったのだ。

 その後、DVD、Blu-rayと新たな映像メディアが登場するとともに、『AKIRA』はその映像メディアが持つポテンシャルを最大に引き出せる、アニメーション作品の中では最もハイクオリティな「素材」としてソフトパッケージ化がなされてきた。

そして、公開から30年を記念する形で、現在の映像ソフトパッケージにおいて、最高峰の画質となる「4K ULTRA HD Blu-ray」に適合する形で4Kリマスター化が実現。その完成度の高さを新たな映像メディアにおいても遺憾なく堪能できる日が近づいてきている。

 このように映像メディアの進化と共に、『AKIRA』という作品は画質、音質の向上が図られてきた歴史を持っている。

しかし、劇場公開を前提とした「映画」としては、日本のアニメ史に残るアニメーション作品ながら、公開当時からその形態が大きく変化することは無く、現在も再上映などを行う場合には、当時の上映に使用された35mmフィルムをかけるしかなかった。そのため、この30年の間に劇場で再上映が行われる機会も少なく、ファンの多くは「いつか劇場の大きなスクリーンでまた『AKIRA』を観てみたい」と思いつつも、それがなかなか叶わない状態にあった。しかし、今回の4Kリマスター化に伴い、『AKIRA』は「映画」としても大きな進化を遂げることになる。

 今回の4Kリマスター化に際しては、35mmマスターポジフィルムを1コマずつ4Kスキャン。フィルムに記録された映像情報をより鮮明にデジタルデータとして取り込み、これまでの35mmフィルムサイズでの上映を遙かに越える高い解像度で映像をスクリーンに映し出すことができるようにアップコンバートされている。その結果、現状での劇場公開用のスクリーンでは最大級のサイズとなるIMAX®の規格での上映を実現することができるようになった。これは、『AKIRA』の30年目の節目にふさわしい、映像的な進化だと言えるだろう。

映像のクリアさが増したことで得られる情報量

 『AKIRA』の物語は、新型の爆弾の爆発から始まる。劇中の1988年に起こったこの大規模爆発によって東京は壊滅し、それが引き金となって世界は第三次世界大戦へと突入。その後和平交渉によって戦争は終結し、世界は復興に向けて動き始める。それから31年後の2019年、東京は華やかに繁栄した「ネオ東京」として復興し、翌年にオリンピック開催を控える状況にあった。しかし、その繁栄の陰で失業者が増大して世間や人心は荒み、反体制運動やテロ活動が横行するような状況にある世界観が描かれる。

 そんな中、アーミーの実験によって超能力を発揮できるようになる鉄雄、反政府組織に所属するケイ、偶然出会ったケイに惹かれて反政府組織に協力しながら、アーミーに連れ去られた鉄雄を探す金田を中心に、巨大な力を持つ存在である「アキラ」を巡って物語が動いていくことになる。

 物語の舞台設定が2019年であること、劇中で描かれた東京オリンピック開催年が2020年となっているという描写は現実世界とのリンク感を強く感じさせることなど、そのタイムリーさも含めて、新しくなった『AKIRA』の映像体験をするというお膳立ては、まさに完璧に揃ったとも言えるだろう。

こうした状況を踏まえて、『AKIRA 4Kリマスター』のIMAX®版を体感した感想を綴っていこう。『AKIRA 4Kリマスター』の試写は、3月某日、TOHOシネマズ 日比谷のIMAX®スクリーンで行われた。

 上映が始まってすぐに感じたのは、IMAX®の大画面による没入感の高さだった。4Kリマスターによって、映像がより高精細化した結果、何度も見返して見慣れている映像が、細部までクリアに見えることに驚かされる。それも大画面になったことにより、その効果はさらに高まっており、細かな街並、ビル群を埋め尽くす窓の光、路地や薄暗い部屋の中まで、既存の映像にまるで新たな情報が加えられたかのような錯覚に陥るほどクッキリと見えてくるのだ。そして、その細かい描き込みは、IMAX®の大画面だからこそより大きく、しっかりと確認することができる。

 「神は細部に宿る」というが、この高精細さが際立つことが、先に述べた没入感へとつながっていくのだ。

 もちろん、没入感を上げるポイントとなるのは、背景や世界の描き込みだけではない。人物の作画パートに関しても同様に高精細となったことによって、輪郭線がシャープに描画され、通常のアニメーション映画の3倍と言われる動画枚数によって実現した生き生きとしたキャラクターの動きをより鮮明に確認することができる。さらに、4Kリマスターによって輝度がアップしたことで、セルの塗り色の違いもはっきりと認識できる。『AKIRA』と言えば、「赤」の色が象徴的に使われているが、劇中にはいくつもの一見同じに見えながらも、実は細かく異なるパターンの赤色が配色されており、その絶妙な配色までもが新鮮なイメージを想起させてくれるのだ。

さらなる没入感を誘う、アップコンバートされたサウンド

 そして、IMAX®上映だからこそのポイントとなるのは、立体音響システムを駆使した「音」の表現。『AKIRA』では、メディアの進化に合わせて、音響処理に関してもバージョンアップを重ねてきたが、その効果をきちんと味わうための視聴環境を整えることは一般家庭ではハードルが高く、その進化を細かく堪能できた人はそんなに多くないだろう。しかし、IMAX®ではBlu-ray版で補強されたバージョンを盛り上げる、さらなる進化を遂げた音響を、最高の環境で味わうことができるのだ。

 音に関してまず注目したいのは、効果音。IMAX®は大音量の爆発音から、わずかな物音まで、レンジの広い音をしっかりと表現してくれることに定評があるが、印象的な効果音が多い『AKIRA』においては、それをより際立って感じることができた。重低音と機械音が混じった電動バイクの疾走音、アーミーが移動に使用するヘリのローター音、フライングプラットフォームの飛行音、鉄雄が解放する能力による衝撃波。これらの印象的な効果音が、実際にその場で体感しているような場所から聞こえてくることで、さらなる没入体験を味合わせてくれる。一方で、路地を歩く、下水道や通路を移動するという環境によって変化する反響音などの細かい音も、同じようにより現実味を増していると感じることができるだろう。

そして、さらなる圧倒的な臨場感を与えてくれるのが音楽。微細な音を表現することができるIMAX®では、芸能山城組による迫力ある音楽もさらに多層的に聞くことができる。バリ島の民族楽器であるジェゴクやガムランが奏でる反響音、そこに重なる人声によって、民族音楽的なエネルギッシュさを感じさせる音楽は、立体音響によってそれぞれの楽器や声を含めた音が際立ち、音楽自体が多層的な音で作り込まれていることを体感させてくれる。事実、4Kリマスター版では音楽自体にも大きく手が入れられており、それぞれの音がより細かく聞き分けられるようになっている。さらに、IMAX®の立体音響システムに最適になるよう調整が施されることによって、これまでの劇場上映はもちろん、映像ソフトよりも聞こえる「音」がより多くなっているのだ。映像だけでなく、音楽までも「これまで聞くことができなかった音」が聞こえることで、ディテール=情報量が増したというわけだ。さらに今回のアップコンバートでは、熱帯雨林環境が発する可聴域を超えた超音波(ハイパーソニック)を体感することができる「ウルトラ・エンリッチメント処理」が施されている。つまり、音だけではなく、波長が身体に伝わることで、より音のリアルさを増すということ。IMAX®上映で感じられる臨場感や没入感は、新たに調整された音響と最高の立体音響システムが融合することによって実現しているのだ。

最高峰の映像と音楽によって実現する、主観的『AKIRA』体験

こうした画と音のアップデート化によって、ストーリーへの没入感も大きく変化したように感じられた。先のストーリー紹介に書いたバックグランドに関しては、劇中ではほとんど語られることはない。映像として描かれる情報から「繁栄の陰で人々の鬱憤が溜まり、それが爆発しそうな状況」ということのみがボンヤリと理解出来る程度だ。それは、主人公である金田や鉄雄の視点とあまり変わらない。社会全体の状況を理解できておらずとも、そうした情勢や環境に揉まれ、それを吐き出したいという欲求を持っているということが金田たちの置かれた状況であり、映像や音の解像度が増した空間に身を置くことで、今まで以上に彼らに共感しながら物語の流れに乗っていくことができたのだろう。

 これまで、『AKIRA』という作品を、筆者はさまざまな映像メディアで10回以上視聴してきている。その間に多くの制作側の情報を耳にし、テレビの画面を通して観てきたことが多いためか、物語や世界観に関しては、金田や鉄雄に共感するというよりも、ディテールやキャラクターの行動などを俯瞰した形で作品を鑑賞していたように思える。それが、IMAX®版では、かつてない大画面と最高峰の音響に包まれるようにして視聴したからこそ、『AKIRA』の世界観に没入し、より金田や鉄雄に近い視点で作品世界の波に乗ったような感覚さえ覚えた。かつて、これほどまでに「主観」に近い形で『AKIRA』を体感したことはなかったし、これこそが、『AKIRA』本来の楽しみ方なのではないかと思えるほどの体験でもあった。

 何度も観てきたはずなのに、まるで別の映画のように感じることができる。IMAX®版『AKIRA』の試写は、まさにそんな映画体験をさせてもらえた作品だった。そして、4Kリマスターによって、『AKIRA』という作品の持つポテンシャルの高さが改めて示されたと言えるだろう。アニメ史に残る傑作である『AKIRA』という作品のクオリティの高さを改めて目の当たりにし、その世界に身を委ねたいならば、今回のIMAX®上映という環境がまさにベストであると断言したい。

PROFILE

石井 誠(いしいまこと)
1971年生まれ。茨城県出身。ホビー、アニメ、映画、特撮、アメコミ、漫画、ミリタリー、サブカル系コンテンツをメインフィールドにしているフリーライター。著書に『マスターグレード ガンプラのイズム』(太田出版)、『機動戦士ガンダムの演説に学ぶ人心掌握術』(集英社、共著)などがある。4月24日に発売となる「AKIRA 4Kリマスターセット」の特製ブックレットに収録される、岩田光央×佐々木望×小山茉美×草尾毅×明田川進によるスペシャル座談会の取材・原稿も担当。

関連記事:「AKIRA」4KリマスターがIMAX®で4月3日(金)より上映開始!

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<商品発売情報>

AKIRA 4Kリマスターセット
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc) (特装限定版)

2020年04月24日
価格:¥9,800(税抜)


▼『AKIRA』4Kリマスターセット 公式サイト
https://v-storage.bnarts.jp/sp-site/akira/

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