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「ガールズ&パンツァー 最終章 第2話」ミリタリー監修スタッフによるトークショーレポート

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大ヒット上映中の「ガールズ&パンツァー 最終章 第2話」をより深く楽しんでもらうためのミリタリートークショー付き上映会が、7月11日に新宿バルト9で開催された。今回もガルパンのミリタリー的な奥深さを支えたミリタリー監修スタッフ4名が集結! 第2話で活躍するBC自由学園と知波単学園のミリタリー監修話を中心に語られたトークショーの様子をレポートする。

新宿バルト9が誇る7.1ch音響による大迫力の上映が終了すると、本作品のミリタリー監修スタッフである鈴木貴昭さん(考証・スーパーバイザー)、吉川和篤さん(日本軍戦車監修)、齋木伸生さん(フランス軍戦車監修)、田村尚也さん(軍事監修)、進行役の杉山潔(アソシエイトプロデューサー)の5名が登壇。

健闘するも敗北したBC自由学園の戦法を分析

最初の話題は、ついに第2話で決着が付いた無限軌道杯1回戦の大洗女子学園とBC自由学園の戦いについて。フランス戦車の監修を担当した齋木さんはその戦い方について、「BC自由学園は、選んだ戦場が良く無かった」と切り出す。その理由として、BC自由学園の使用したARL−44は長距離からの射撃を活かすべき車輌であるのに、戦いの舞台となったボカージュ(生け垣)が多い場所ではその性能が活かせないためだと説明。その発言をフォローする形で吉川さんは、「ボカージュに囲まれた狭いところで活躍したソミュアS35の戦いは良かった」と語る。

続いて齋木さんは「戦術としてはARL-44を主力にしながらも、ソミュアS35を陽動部隊として使うべき。単純にチームを2つに分ける使い方は良くなかった」とまとめた。その分析に付け加える形で田村さんからは「ARL-44が射撃専門でソミュアS35を囮に使って戦えばかなり強かったはず」との意見も出された。まとめとして鈴木さんは「結局、仲が悪かったからそういう作戦がとれなかった」とBC自由学園の負け方が理に適っているだろうと語るなど、冒頭からBC自由学園の戦い方についてはちょっと厳しめの意見が飛び交った。

大きく進化した知波単学園の活躍を評価

そして、話題は大洗女子学園と第2回戦で対戦する知波単学園へと移行。知波単学園の予想以上の健闘に対して吉川さんは「いや〜、素晴らしかったですね。今までの印象を吹き飛ばす成長ぶりで。西さんと福田の成長はもちろん、周りがちゃんとついてきたこともいいです。ただ、周りはついてきたというよりも騙されたという感じですが(笑)」と太鼓判を押す。また、特二式内火艇に乗っていた西原が大洗女子学園のⅢ号突撃砲を「Ⅲ号なにがし」と呼んだ部分を引き合いに出し、「突撃という言葉に箝口令が敷かれていたのでは」と指摘。齋木さんも「いろんな突撃を覚えて、あの子たちも出来る子になった」と語った。

田村さんも知波単学園の戦術面に関して聞かれると「なかなかいいですよね。一撃離脱する“ごきげんよう突撃”とか、戦術の幅が広がっていますね。学校内ではそれぞれの突撃の名前で練習したのかな?」とコメント。その他「旗車に行かず、ポルシェティーガーを最初に狙ったのは凄い成長のひとつ」と吉川さんが語るなど、その戦いぶりはミリタリー監修チームの中でも高評価だった。

ミリタリー監修スタッフの注目する小ネタをチェック!

次なる話題は最終章第2話に散りばめられたマニアックなネタについて。杉山からの振りに対し、田村さんは「マリー様のバラ風呂の横にあった野戦ボイラー」についての苦労話を披露しようとすると、そこに齋木さんも同調して、監修時の苦労話に発展。「マリー様のバラ風呂」に関しては、制作部からミリタリー監修の2人に「どのバラを入れればいいか?」という問い合わせがあり、齋木さんは「俺たちはミリタリー監修なのに、何でバラについて聞かれるんだよ(笑)」と複雑な心情を吐露。それでも、2人ともきちんとバラについて調べて推薦したと語った。すると、吉川さんと鈴木さんもその意見には納得だったらしく、「ものすごく細かいことを聞かれますよ。困ったら僕らのうちの誰かに聞けばなんとかしてくれると思ってますね」(鈴木さん)と、多岐にわたるミリタリー監修スタッフの頼られっぷりが判るエピソードも披露した。

続いて齋木さんが語ったのは、「フィンランド先生」と呼ばれるレベルでこだわり続ける継続高校の戦車BT-42について。第2話の劇中ではわずかしか登場しないBT-42だが、劇場版からさらに細かい監修を行うことで、オミットされていたフックやジャッキ台なども追加してもらえるよう要請。その監修に合わせてバージョンアップされたCGに注目して欲しいと語った。その徹底したこだわりにちょっと呆れ気味の杉山から「それって本編に何か関わるんですか?」とのツッコミが入る一幕も。

吉川さんは青師団高校が使用する戦車について言及。「青師団高校が使うベルデハ2と一緒に、CV-35がチラっと出ているんです」と、CV-35がイタリア戦車のCV-33とどう違うのかを解説。さらに、吉川さんは劇中に登場する双眼鏡関係や知波単学園で使用されているコンパスなど、戦車だけでなく装備品などにも注目して欲しいと語った。そして「バレー部のキャプテンが飲んでいる“おいしや牛乳”。あれは日本軍の100t戦車のオイ車のことです」といった超小ネタにも言及した。

鈴木さんは「いろいろと、すごく細かいネタを五月雨式に入れ込んでいったのは覚えているんですが、何をやったのかはすぐに出て来ない」と語りつつ、苦労して手に入れたソミュアの車内の写真が全然使われなかったのがちょっと残念と監修作業を振り返った。ちなみに、それらの資料は鈴木さんが関わるスピンオフコミックス『リボンの武者』に盛り込まれるそうだ。
そして、杉山はガルパンには珍しくお色気が話題となった青師団高校の制服について解説。元ネタとなったのは、スペイン外人部隊の制服であり、実際の制服は筋骨隆々の男性兵士が胸元を大きく開けて着ているものであって、「お色気を狙ったわけではない」とのこと。もちろん、小ネタの数々はこれだけではないが、再度第2話を観直すにあたって注目ポイントが増えたのは確かだ。

新発見によってよりハイクオリティとなった特二式内火艇

そして、締めの話題は知波単学園が試合に投入し、劇中では初登場となった特二式内火艇。特二式内火艇は、吉川さんがモスクワにあるパトリオットパークという戦車が多数展示されている施設で実車取材し、さらに鈴木さんがパラオで実戦に使用されその後放置されている車両を撮影した資料をもとにCGのモデリングを作成。吉川さんは施設の学芸員の方に不審がられながらも資料としてどうしても必要な車輌の底の部分を撮影したことで、これまでどの資料でも見つけることができなかったディテールを発見。そのディテールも劇中CGで再現されているそうだ。塗装案に関してはミリタリー監修のみんなでアイデアを出し合い、齋木さんが提出したものが採用された。日本軍の戦車は、陸軍が主導で開発し、海軍に貸し出されるのが普通だが、特二式内火艇は珍しい海軍主導開発の戦車。そこで、齋木さんは海軍が採用している艦船の迷彩を提案し、それが採用されることになったとのこと。

これらのマニアックな話が尽きることなく続く中、吉川さんや齋木さんが杉山を困らせるがごとく次々と投入する話題によって、30分のトークショーは若干時間が延長。「このメンバーで30分は短いから、次はもっと長くして欲しい!」という、杉山からの切実な要望が伝えられた。そして、トークショーは杉山の音頭によるお馴染みの「パンツァー・フォー!」のかけ声のもと、会場が一体となって終了。ディープなミリタリーファンも大満足な、そして次に「ガールズ&パンツァー 最終章第2話」を観直す際の新たな楽しみを与えてくれるトークショーであった。。

<上映情報>


ガールズ&パンツァー 最終章 第2話
2019年6月15日(土)より絶賛劇場上映中!


<第2話上映中PV 知波単学園ver.(60秒)公開中!>


<Blu-ray&DVD情報>


ガールズ&パンツァー TV&OVA 5.1ch Blu-ray Disc BOX
好評発売中!

 

ガールズ&パンツァー 最終章 公式サイト

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