インタビューココだけ | 宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 –STASHA-

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 –STASHA-』アベルト・デスラー役:山寺宏一×スターシャ役:井上喜久子 対談

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リメイク版『宇宙戦艦ヤマト』のシリーズ第3作目となる『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』。全二章で制作された本作の後編となる『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-』が2月4日から上映開始となる。今回は、後章での物語の中心となるデスラー役の山寺宏一さん、スターシャ役の井上喜久子さんに、本作における見所とそれぞれのキャラクターを演じる際に込めた思いを語ってもらった。

イスカンダルとガミラスの関係とその事実には驚愕しました[山寺]

──『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』の後章のサブタイトルが「STASHA」となっています。このサブタイトルを聞き、最初に台本を読まれた際の感想をお聞かせください。

山寺サブタイトルに関しては「ずばり来たな」という感じですね。台本に関しては、『2205』全8話を1冊ずついただいていたので、劇場版でのサブタイトルを聞いたのはかなり後になってからです。他の方はどうかわかりませんが、『2205』がどんな話になるのかは、前段で僕自身は説明を受けておらず、1話ずつ台本を読んで知っていったという形でして。スターシャから語られるイスカンダルとガミラスの関係とその事実には驚愕しましたね。後章のサブタイトルが「STASHA」になることに関しては「そうでしょうね」と納得しかないです。

井上私も同じような感想で、後章のサブタイトルが「STASHA」になったと知った時は、驚きましたが、確かにタイトルになってしまうくらい、スターシャからいろんな秘密が語られます。スターシャを演じる不安、というよりは重圧感を感じました。台本に関しては、山寺さんが仰る通り、1話ずついただいたので、その話数ごとにいろいろ感じる部分はあるんですが、後半に進むに従っていろんな事実が明かされて、私も驚愕しました。その一方で、納得できる部分も多くて「そうだったんだ」という気持ちもありましたね。

──後章に関しては、ある意味デスラーとスターシャが主役となる物語だと思うのですが、安田監督や脚本の福井晴敏さんから演じるにあたって、何かオーダーのようなものはあったのでしょうか?

山寺僕に関しては何も無かったですね。

井上安心してお任せしていらっしゃるということですよね。

山寺いやいや(笑)。『2202』の収録が終わった後に、「この後、デスラーはどうなるんですか?」という話を福井さんに聞いたところ、「活躍しますよ。もうひとりの主役みたいなものですから」と言われて。以上ですね(笑)。ご存知の通り、『2205』はコロナ禍で作られているので、収録は基本1人ずつで行う形式でした。他の出演者と収録現場に集まって「あそこは、ああだよね。こうだよね」と話すこともできなかったので、粛々と収録を進めたという印象で。

──まさに、どのように想像し、演じるかというご自身の中での戦いという感じだったわけですね。

山寺そうなんですよ。収録中に、いろいろと質問しようと思ったんですが、まずは自分が考えた演技を聞いてもらうことを重視していたので、結果的には質問するようなことが今回は無かったですね。喜久子ちゃんはいろいろ話し合ったの?

井上私は収録の前後に福井さんがスタジオのブースの控え室のようなところに来てくださって、いろいろ話をしました。アレ? 山寺さんは無かったんですか?

山寺僕には無かったんだよね。もしかして、見捨てられた?(笑)

井上違いますよ(笑)。お忙しいから無かったのかもしれないです。私は福井さんから今後の展開や、スターシャの考えなど、いろいろアドバイスというかお話をしていただきました。とても心強かったですね。私は、スターシャという役に対して、ずっと緊張感というか不安感のようなものがあったので。演じる中でも、「ここは良かったですよ」という励ましなどもいただきながらやらせていただきました。

山寺そうだったんだ。僕は普通にやって、すぐ終わっちゃった感じで。

井上安心してお任せできたんじゃないですか?

山寺台本を読んで、感じろということなのかなと。「すべては台本の中にあるだろう?」って言われているような気がして。意外と聞けないんですよね。『ヤマト』もそんなに単純な話ではないし、いろんな解釈ができる作品ですからね。

井上私も、質問するのが怖いというのはわかります。

山寺「え? それ、わからないの?」って言われたらどうしようって思いますよね。

井上そうなんです。そういう緊張感はありますよね。

スターシャは自分自身との戦いみたいなものを感じさせるキャラクター[井上]

──山寺さんは『2199』、『2202』でしっかりとデスラーを演じ続けてくれたということから、福井さんも不安は無かったということだと思いますが。

井上そうですよね。「山寺さんは、もうわかっているでしょ?」という感じだったのではないかと私も思います。

山寺今回、デスラー自身予期していなかった、初めて直面するような要素が多かったです。スターシャはすべての事実を知っていて、「ついに言うべき時が来た」という感じですが、デスラーは知らないであんなに頑張っていたという。今までだと、全部わかった上で、自分を押し殺して語るセリフもあったり、迷いもあるけど、それも隠して話すということもあったのですが、今回はデスラーも僕も本当に知らなかったから「え〜っ!」って言いたくなりましたね。「うそ〜ん」って。

井上そんな笑いのシーンは無くて、もっと深刻ですけど(笑)。すごい事実が明かされますよね。

山寺いずれにせよ、今回のデスラーはすごく複雑な思いがありましたね。

──井上さんは、スターシャというキャラクターに対してどんな印象を持たれていますか?

井上やはり、独特の存在感がありますね。素晴らしいキャラクターではあるんですが、『2199』で演じた時からずっと緊張感が拭えなくて、いつも心のどこかで「私なんかが演じていいんだろうか?」と思っていました。星の女王としての重責や苦しみ、悩みをたくさん抱えている女性なので、スターシャの深い思いをどれだけ私が表現出来るのかを考えつつ、スターシャに寄り添いながら演じてきましたね。そういう意味では、自分自身との戦いみたいなものを感じさせるキャラクターでした。今回は、『2199』では描かれなかった過去や新たな事実を語らせていただいたのですが、その話数の台本は読んでいて号泣してしまいました。「これを演じるのか? これはすごく大変な出来事だ」と思いながら、皆さんにきちんと伝えないといけないという強い責任感を感じました。そして、自分自身、事実を語ったことによってすごく浄化されたような気がしたんです。決して楽しくなるような話ではないですが、自分自身はこれが語れたことがとても嬉しかったです。

──山寺さんは、井上さんの演じるスターシャにどんな感想を持たれましたか?

山寺もう、喜久子ちゃんしかいないなと。昔からやっていたんじゃないかと思うくらいピッタリで。神々しさと凛々しさ、そして儚さみたいなものは、なかなか演じて出そうとしても難しいと思うんです。元々、そういうものを持っているのか、それがスッっと自然に出てくるんですよね。デスラーは、とにかくずっとスターシャを愛していて、そう思わせる存在感は喜久子ちゃんの芝居によって表現されていた。本当に素晴らしかったです。

原作シリーズを自分は気にしすぎているということに最近気付いた[山寺]

──『2205』の中で、それぞれ印象に残っているセリフを教えてください。

井上「真実を伝える時が来ました」というセリフですかね。いろんな過去や真実が語られていく最初の言葉なので、自分的には万感の思いを込めるような思いで言わせていただきました。そこから続くたくさんの言葉たちを演じながら語る時は、自分の人生の中で感じた、過去に起きた哀しみや苦しみは、スターシャの今回のシーンで言葉としてのせていくための苦しみだったのかと思えるくらい、星の女王でもない私自身が、とても感情移入することができたんです。それくらい、スターシャが過去と真実を語るシーンでは、すごく気持ちが寄り添えました。

山寺予告でも出ている、デスラーの「古代、私ごと撃て」のシーンはやはり印象的ですね。原作となった1979年の『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』でも有名なセリフで、当時デスラーを演じていた伊武雅刀さんの名演も語り継がれていて、もちろん僕も存知あげていました。ただ、あまりそこを意識し過ぎてもいけないなと。実は、原作シリーズを自分は気にしすぎているということに最近気付いたんです。僕は他の作品も含めて、偉大な先輩が演じた役を引き継ぐとき、その演技を気にしすぎてしまうんですよね。「どうせ敵わない」とか言われたりするから、先輩たちに無理に似せようとし過ぎたりしていて。でも、『ヤマト』で改めて周りを見てみると、例えば小野大輔くんと富山敬さんの演技を比べたことがないのに、自分はそれに縛られていることがわかったんです。だから、以前は前の作品を観すぎるくらいでしたが、今は抑えようと思っています。原作へのリスペクトはあるけれど、設定も物語も新しくなって、新たな『ヤマト』を作ろうとしているわけですよ。今作の監督をつとめる安田賢司さんも、昔の『ヤマト』を通ってきていなくて、新しい視点で作ることで素晴らしい作品になったと思っています。なのに、何で僕は過去に縛られているんだろうと思って。とにかく、台本と役、その時の気持ちに寄り添っていこうと。スターシャに驚きの事実を語られるシーンは原作にはないですから。だからこそ、「私ごと撃て」という台詞やスターシャへの言葉の重さも違うと思って演じました。もちろん、「デスラーは伊武さんじゃないとダメだ」という人もいるわけですが、あまり気にし過ぎてもダメだと思っています。もちろん、僕も伊武さんの演じるデスラーのファンなんですが、それをずっと思っていたら追いつけない。そう思って、今回はマイクの前に立って、気持ちを込めて演じました。

──今回の物語では、デスラーもスターシャも人としての「弱さ」を見せるような描写が多かったように思います。台本を読まれて、「弱さ」に対してどのような意識をされたり、心構えを持ったりされたのでしょうか?

山寺弱さを意識するというよりは、台本にそのように書かれていたという感じですね。デスラーもガクっとうなだれるし、ワナワナするし、激昂する。『2202』で描かれたデスラーの人間らしい部分を、今回なぜそうなったのか裏付けされたわけです。デスラーが、もとから強い人間だったわけではないことが明らかになり、過去を掘り下げていただいたおかげで、今回感情がいろいろ出しやすくなりましたね。「全てはガミラス臣民のために」と無理して虚勢を張っていたけど、次々と明かされる事実にうろたえてしまうのも無理はないかと。スターシャへの愛に関しても、とても切なくなるもので、デスラーの人間味が濃く出るストーリーだからこそ、自然と「弱さ」が出てしまったという感じでしょうか。

井上スターシャを演じさせていただく時に、自分の中でイスカンダルの女王としての強さと、ひとりの女性としての弱さというものが絶対に共存しているはずだと思っていたのですが、『2199』ではその弱さが語られることがありませんでした。今回は、女性としての切ない思いが台本に書かれていて、それが映像として描かれていたので、自然に演じることができたと思います。

──『2199』『2202』を演じた時と比べると、デスラーもスターシャも心情が大きく変化していたと思います。その「変化」の演じ方については、どのような意識がありましたか?

山寺起こる事象があまりにも衝撃的で、感情もかなり揺り動かされていますよね。感情表現に関して意識したのは、デスラーらしさをどこかでちょっと残しておかなければいけないということですね。「もうどうでもいい」とならないように、心の全てを露わにするわけではなく、ずっと心にブレーキをかけながら演じているというか。感情を解放していないので、ものすごく疲れました。感情を解放して叫んだりする方が、どれだけ演じやすいか。だから、下っ腹に力を入れながら演じていたこともあって、毛細血管がいっぱい切れたんじゃないですかね。「デスラーなんだから」という部分での匙加減が本当に難しかったです。

──やはり、デスラーを演じるのは大変なんですね。

山寺本当に疲れます。変なところがひきつったりするし、大して喋っていないのに、身体が痛かったりしますからね。

井上山寺さんは、ずっと威厳を保たれていますよね。悲しいセリフや感情が揺れても、デスラー総統であるところはブレなくて、私も聞きながら感動してしまいました。

山寺ありがとうございます。

──井上さんは、スターシャを演じるにあたって、「変化」をどう捉えましたか?

井上スターシャは、女王としての苦しみや哀しみを胸に秘めて、わりと少ない言葉で表していたので、その頃は難しかったです。今回、「話すべき時が来ました」と言って語った時のほうが、私は解放されたような感じでしたね。よくよく思えば酷いことも言っているかなというのもあるんですが、スターシャが選んできたことや、語ってきた真実の中には、やはりスターシャなりの覚悟というか、「いろいろと私は間違ってきました」という思いも溢れていたので。スターシャなりに辛い過去を乗り越えてきたんだという思いも強かったです。

──では最後に、本作の見所とファンへのメッセージをお願いします。

山寺みなさんは『2205』の前章はすでに見られて、後章ではどんなストーリーになるか気になっていると思います。今回は「STASHA」というタイトルが付いているので、スターシャとデスラーのことを気にしてくださっていると思いますが、衝撃の事実が明らかになりますので、ぜひ心して劇場に足を運んでいただければと思います。とにかく、「愛」の物語になっているので。

井上本当にこの素晴らしい『宇宙戦艦ヤマト』という世界の、ある種の到達点とも言っていいような、そういう部分が描かれた作品です。本当に総合芸術として素晴らしくて、音楽、映像美、迫力。そして、ヤマトクルーのみんなや、デスラーやスターシャの愛のあるヒューマンドラマとして、たくさんの感動が詰まった作品になっていると思います。たくさんの方にこの感動を味わっていただきたいです。

PROFILE

山寺宏一(やまでら こういち)
6月17日生まれ。宮城県出身。主な出演作は『新世紀エヴァンゲリオン』加持リョウジ役、『カウボーイビバップ』スパイク・スピーゲル役、『ドラゴンボール超』ビルス役、『ルパン三世』銭形警部役など。声優の他、タレント、ナレーター、ラジオDJとしても第一線で活躍している。

PROFILE

井上喜久子(いのうえ きくこ)
9月25日生まれ。神奈川県出身。主な出演作は『おねがい☆ティーチャ-』風見みずほ役、『はたらく細胞』マクロファージ役、『ああっ女神さまっ』ベルダンディー役、『しまじろうのわお!』さくら役、『ムーミン谷のなかまたち』ムーミンママ役などがある。

シリーズ最新作
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