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季節に合わせたイベントと美味しい料理が自慢。看板娘の丸山紗希にちなんで「丸山荘」の愛称で呼ばれる人気の民宿、DKSこと大勘荘の名物オーナー。近海料理の宿 大勘荘 小野瀬和助[ガールズ&パンツァー 大洗女子学園掲示板]

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『ガールズ&パンツァー』の舞台・大洗で、より作品を身近に感じている方々に、作品と出会ったきっかけやエピソード、作品への思いなどを聞いていく『大洗町めぐり~大洗の今、そしてこれから~』。第23回は近海料理の宿 大勘荘 小野瀬和助さんにお話を伺いました。

季節に合わせたイベントと美味しい料理が自慢。看板娘の丸山紗希にちなんで「丸山荘」の愛称で呼ばれる人気の民宿、DKSこと大勘荘の名物オーナー。

──まずは大勘荘さんの創業経緯からお教えください。

水産加工業として100年前に創業したのが始まりです。その頃に親戚が夏季民宿を経営していたのですが、満室で入れなかったお客さんをここに泊めたそうなんです。当時は大洗を訪れる海水浴客の数が多く、普通の民家も空き部屋に客を泊めていた時代でした。これをきっかけにウチも夏季民宿を始めるようになり、それが50年ほど前で、年間を通しての民宿になったのは40年くらい前です。現在は水産加工はやっていません。

▲「近海料理の宿 大勘荘」住所:茨城県東茨城郡大洗町大貫町27
チェックイン15:00、チェックアウト10:00

──大勘荘さんは「魚が美味しい」とファンの間で評判ですが、それは水産加工の技術と関係があるのでしょうか?

それは別の話です(笑)。皆さん「美味しい魚が食べたい」と言ってウチに来るのですが、『ガルパン』ファンの方は舌が肥えていて、普通のマグロやサーモンでは満足しないんですよ。「あれが食べたい」とか「こんな企画をやってほしい」と無理難題(笑)を言うので、「おう、やってやるよ!」と応えているだけです。ただお出しする料理には気を遣っています。食材は基本的に地物を使っているのですが、獲れないときは「余所から仕入れた“回り物”で良いですか?」とお客さんにご了承いただいています。地魚を売りにしている以上、嘘は付けませんので。

──ファン向けに何かサービスをされていますか?

民宿組合で作ったミニハンカチを宿泊客に配る「ガルパンプラン」をやっています。最初は出来るだけ多くの民宿を利用してもらうため大洗女子8チームを宿屋毎で分けていました。今はどの宿も8種を用意したフリースタイルですが、ファンの方は最初に振り分けたチームのハンカチを選ばれますね。ただ、この企画を始めるとき他のお宿さんたちには「グッズに頼れるのは1、2回で、それ以降は皆さんが頑張らなきゃダメです」という話をしたんです。『ガルパン』ブームがいつまで続くか分かりませんからね。ですからウチも美味しい物でお客さんを感動させる方向性に早い段階で切り替えました。それならリピートに繋がりますからね。それで、ほぼ毎月イベントを企画しているんですよ。それが5、6年も続いているので大変ですが、お客さんに飽きられたら「負け」なので頑張っています。

──その毎月のイベントをあらためてご紹介いただけますか。

では1月から順番にご説明します。

※下記の催しは、大勘荘様の主催ではありません。また、年により実施されないこともあります。

──なるほど、年間で行事がこんなにあるんですね。

それぞれのイベントに幹事がいるんですよ。あとバーベキュー大会は全部食べ切ればお客さんの勝ち、食べ残したら俺の勝ち……という勝負形式になっています。最初にバーベキュー大会をやった日の翌日が操法競技大会(※)で、前日から勝負のことしか頭になかったんですよ。そこで、ついお客さんに勝負を挑んだのがきっかけでした(笑)。
※消防器具を使った消防団同士による競技形式の訓練。

──丸山紗希のキャラクターパネルが設置されていますが、パネルに纏わるエピソードがあればお教えください。

パネルが設置された頃、自分は宿泊青年会という宿会の青年部に参加していて、その会合で『ガルパン』のことを知りました。そのときのパネル設置リストにウチは入っていなかったのですが、当時は希望者がそれほど多くなかったので回してもらったんです。

──当時は『ガルパン』人気も未知数だったので、希望者が定員に満たなかったのは分かります。その中で小野瀬さんがパネルを希望されたのはなぜでしょう?

東日本大震災の影響もあります。大洗は3月末には復旧をほぼ終えていて、観光客を迎える準備は早い段階で出来ていました。ところが一向にお客さんが来ない。宿泊青年会で色々な企画を立てても集客に結び付かず、それどころか原発事故による風評被害も受けました。そんな時期に『ガルパン』の企画を聞いたのですが、最初は集客効果までは期待していませんでした。ただ「1つの作品で地元が残るのは良いなぁ」くらいの印象でしたね。ところが実際に放送が始まったら、今までの客層とは違う観光客を見かけるようになったんです。そこで積極的に『ガルパン』に向き合うべきだと考えました。また青年部と話し合って宿泊客に缶バッジを配るプランを企画したら、その日のうちに7件も予約が入ったんです。そこで「これは行けそうだ!」と確信しました。

──最初から丸山紗希を希望されたのでしょうか?

実はリクエストしたのは佐々木あけびと冷泉麻子だったんです。でも両方とも通らず、第3希望として出したおばぁ(冷泉久子)もダメでした。

──おばぁを希望されたのはなぜです?

第4話で麻子がまいわい市場からおばぁの家に向かうシーンがあって、その方向にウチがあったんですよ。それなら麻子の実家にしてもらおうと思ったんです(笑)。それもダメだったので「じゃお任せします」と言って届いたのが紗希のパネルでした。そのときは海外のファンに人気のあるキャラクターだと説明されました。でもウチに迎えてからは娘のような存在になりましたね。母も孫のように可愛がっています。

──『ガールズ&パンツァー』をご覧になった感想をお聞かせください。

最初に大洗が舞台のアニメと聞いたのに、第1話の舞台が船の上だったじゃないですか。ガッカリして観るのを止めちゃったんです。本当に申し訳ない(笑)。ところが第4話に大洗が出たと聞いて、あわてて第5話から見直しました。そうしたら面白くてハマったんです(笑)。観終わった後も次回が気になってしまい、一週間を長いと感じた作品は久々でした。僕は女子高生アニメも戦車の良さも分かりませんが、物語が普通に面白いんです。

──第4話はご覧になったのですか?

後から拝見しました。まるで写真でも撮ったかのように大洗の町並みが描かれていて感動しました。肴屋本店さんに戦車が突っ込むシーンを見て羨ましいと思いましたね(笑)。

──そんな大勘荘さんも劇場版に建物が登場しましたが、ここで描かれることはご存じだったのでしょうか?

公開の半年前くらいにアニメのスタッフがウチにロケハンに来ましたが、肴屋本店の大里明君に「内緒にしといてください」と言われました。その後で常盤良彦君に「看板を倒していいですか?」と訊かれたときは「ふざけんなよ」なんて冗談で言ったんですよ(笑)。ただ出るのか出ないのかは公開まで分かりませんでした。

▲『劇場版』でノンナのIS-2に吹っ飛ばされるウサギさんチームのM3中戦車リー。その際にへし折られた大勘荘の看板がこちら。

──では劇場版をご覧になるまではご存じなかったわけですね。

そうです。最初にお客さんたちと一緒に観に行ったのですが、割と早い段階で丸山紗希がアップになって「お、今回は喋るの早いな」と喜んだんです。ところが「蝶々……」とか言って撃破されたのでガッカリして、うなだれて顔を上げたらいつの間にか看板が折られていました(笑)。さらに仕事の疲れもあって寝てしまい、目が覚めたときは観覧車が転がるシーンだったんです(笑)。上映後にお客さんが「紗希ちゃん、今回は二言も喋りましたね」と言って、「え、『蝶々』の一言じゃないの?」「『観覧車……』って言いましたよ」「それ知らない」「寝てたんですか!!」なんて怒られてしまいました(笑)。その失態もあって劇場版はトータル11回観に行きました。ちなみに2回目は水戸で舞台挨拶のあった日です。

──劇場版を含めて『ガルパン』で印象的なシーンはどこでしょう?

第12話で丸山紗希が「薬莢、捨てるとこ」と敵の弱点を指摘するシーンです。この話の予告カットが彼女だったので、その時点で活躍を期待していたんですよ(笑)。

──劇場版での登場以前から大勘荘さんは人気のスポットでした。それまで映像で描かれたことがないのに、多くのファンが注目する「特異点」だったんですよ。

それはお客さんからも訊かれました。「劇中に出ていないのに、何でいつも満員なんですか?」と。「お客さんとガルパンの話で盛り上がっているからだと思いますよ」なんて答えましたけど。

──ファンと深く交流されるようになったのはなぜでしょう?

もともとウチはお一人様を対象にしていなかったのですが、『ガルパン』ファンのためにお一人様OKにしたんです。でも部屋数が少ないので相部屋をお願いすることも多いんです。で、その場合はお客さん同士で友達になれば良いので、そうなるよう自分が話の輪に入ることを思い付いたんです。そこで話題にするため『ガルパン』を何度も観て勉強したら、「大洗に無駄に熱いオヤジがいる」とネットで書かれてしまいました(笑)。誉められているのか、貶されているのか分からない(笑)。でもお客さんの一人に「誉められていますよ」と言われたので、この方向性を続けることにしました。やがて相部屋になったお客さん同士のコミュニティが広がり、DKS東京支部の飲み会とかやっているそうです(笑)。

──大勘荘の略でDKSですか(笑)。またファンの間では「丸山荘」とも呼ばれているそうですね。

それをネタにしたマグカップも作りました。最初のダイカンウォーを始めたのが2013年のあんこう祭前日で、告知をしたら定員40人がすぐ埋まったんですよ。そのお礼として記念品のマグカップを作ったのですが、普通のグッズでは面白くないと思い、自分の顔に「お前ら、いい加減にしろ! 丸山荘ではなく大勘荘だ!」という言葉を入れたんです。でも、お客さんを「お前ら」呼ばわりするのは最初に悩んだんですよ。一つ間違えると大事ですからね。でも、思い切って決行したら好評だったのでホッとしました(笑)。

──ファンの印象はいかがですか?

礼儀正しくマナーも守ってくれるので助かります。こちらが出したものは残さず食べてくれるので、実に気持ちの良い人たちです。また大洗のクリーンアップ作戦にも参加してくれて、それ以外の平日でもゴミを拾ってくれるんですよ。「大変ですね」と声をかけたら「大洗には楽しませてもらっていますから」と言ってくれたのが印象的でした。あと僕や母の誕生会まで開いてくれるんですよ(笑)。

──そんなファンが何度も訪れる大洗の魅力とは何だと思いますか?

やはり町民の人柄だと思います。その人柄に惹かれてファンの人たちは大洗に戻ってくるのだと思います。口は悪いですが(笑)。

──また大洗で商売をされている方は、どこも高額な料金設定にしていないんですよ。それもリピーターを呼ぶ理由の一つだと思いました。

もちろん商売なので利益は考えていますが、必要以上にとらないのは震災の影響もあると思います。観光客が一斉に来なくなった時期を経験しているし、震災がなかったとしても後継者不足で店を閉めようとしていた商店もありました。そんな中で多くのファンが訪れてくれた。僕らにとって『ガルパン』は奇跡で、ファンの皆さんは救世主なんです。僕らは、その救世主をもてなしたいという思いで接しているんですよ。

──今後予定されていることがあればお聞かせください。

本当なら「秋の味覚祭」の季節ですが、今年は国体(第74回国民体育大会)の時期と重なってしまい、その間は選手の宿泊所として使うのでお休みさせていただきます。次回は11月のダイカンウォーの予定ですね。あと個人的には旅行に行きたいですね。以前も15人くらいのファンと広島の呉に行ったり、山梨の石和温泉で一泊したこともありました。

──次の方のご紹介をお願いします。

とびた荘の飛田純平君を推薦します。宿会の青年部で一緒に活動していて、青年部では最も若いんですよ。若い感性で色々な意見を出してもらっているし、ゆくゆくは宿会のリーダーとして活躍していただきたいと思っています。

PROFILE

小野瀬和助(おのせ・かずすけ)
1963年7月12日生まれ、大洗出身。大勘荘(推定)4代目代表。高校卒業後に調理師学校を経て、家業である大勘荘を正式に継いだ。幼少時はアニメより『仮面ライダー』や『超人バロム・1』などの特撮ヒーローが好きで、中学生の頃に『宇宙戦艦ヤマト』を観ていたとのこと。なお大勘荘の屋号は正式名称の「大竹勘四郎商店」の略称である。

<上映情報>


未知なる 4D 体験へ、パンツァー・フォー!
『ガールズ&パンツァー 最終章 4D ~第 1 話+第 2 話~』
MX4D、4DX にて 10 月 11 日(金)劇場上映!


『ガールズ&パンツァー 最終章 4D ~第1話+第2話~』上映予告(60秒)


<Blu-ray&DVD情報>


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好評発売中!

 

ガールズ&パンツァー 最終章 公式サイト

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