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実録! スタッフ&キャストインタビュー【第3回 キャラクターデザイン 久保田誓インタビュー】 [実録! ワンパンマン]

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12月21日にBlu-ray BOX & DVD BOXが発売され、来春には第2期の放送も決定した『ワンパンマン』。第一期に続いてキャラクターデザインを担当する久保田誓さんに作品を振り返っていただきつつ、作品の魅力や第二期への期待感を存分に伺った。

──まずは第一期を振り返ってみていかがでしたか?

『ワンパンマン』の総作画監督としての仕事をお受けする時に「大変な道を選ぶことになるぞ」と覚悟したのを覚えています。というのも、村田雄介先生の絵はプロが見れば誰しもがわかる卓越した上手さ。ですから、作画でも立体的整合性やデッサン的正確さをどのキャラクターに対しても毎話追求しながら、なんとか村田先生の画力に食らいついていって、アニメで再現しようと精一杯取り組みました。

──本作との出会いは、久保田さんにとってのひとつのターニングポイントに?

そうですね(笑)。漫画をアニメで表現する難しさを痛感したことも山ほどありました。しかし、自分にとってチャレンジのある作品に関わることで、これからの絵描き人生もやっていけるかどうかというのを、見極めたいとも思っています。そんな思いを『ワンパンマン』にかけてみようという意気込みでしたし、今あらためてとても大きな財産になったなと感じています。第1期を経て、村田先生とも信頼関係を築くことができたのは自信につながりましたし、手応えも感じています。

──今あらためて、『ワンパンマン』の魅力はどこにあるとお思いですか?

あらゆる敵を一発でぶっ飛ばすサイタマの痛快さ。それまで苦戦していたヒーローたちを差し置いて、サイタマが颯爽とやってきてやっつけてしまう気持ちよさは、単純明快に楽しいですし、世界中で人気を得た要因だと思います。

──では、そんな痛快作品をアニメ化する上で、苦労されたことは?

シリーズを通して総作画監督をしたことで、だんだんと漫画の印象をアニメで再現をするためのコツを掴んできたんです。そしてワンパンマンに関しては逃げることなく、線を増やし、影を増やす方法が一番の近道だという結論に(苦)。ですので、最終話では、より立体感を際だたせるために、できる限り二号影(※1)をつけるようにしました。
※1 二号影=通常の影に加えて着けるさらに濃い色の影のこと。陰影が深まりより立体感が増す効果がある。

──まさに「大変な道を選ぶ」ことになったのですね…。

…ええ。どのキャラも等しく大変でしたが、二号影をしっかり入れなければという道を選ばせたのは、他でもないぷりぷりプリズナーでした。

──――ッ!! どういうことですか!?

素っ裸で戦うヒーローとして活躍するぷりぷりプリズナーですが、彼のシーンを描いていると、当たり前のことなのですが肌色感が強くなりすぎてしまうんです。ややもすると卑猥な感じになってしまう。彼の肌色感をどうすればよいかと悩んだ結果、彼の格好良さとヒーロー感を成立させるために、ウソのない表現を目指すことでした。村田先生が描いているように骨格や筋肉を忠実に描きつつ、二号影をしっかりと入れて、ヒーローらしさを際立たせました。

──まさか、そんなエピソードがあったとは…。

そんな工夫も楽しかったですね(笑)。

──そんな中で、特に印象に残っているシーンは?

すべてのシーンが印象に残っているのですが…、その中からあえてひとつ挙げるとすればやはり最終話、サイタマとボロスのバトルシーンでしょうか。放送を見た村田先生が思わずTwitterで図解されるほど迫力のあるシーンに仕上がりました。謎のスーパーアニメーター、高橋矢太郎さんのパートですね。最終話の編集作業から戻ってきた夏目真悟監督が「…これは伝説を作っちゃったかもしれない」と話していたのが今でも思い出されます。僕自身も、作画監督チェックの段階で「これはすごい!」と思っていましたが…実際に完成した映像を観た時に「どひー!!」って(椅子ごとひっくり返るシーンを再現)。

──久保田さんもひっくり返ってしまうほどの完成度だったのですか!?

ええ。どの話数もクオリティの高い原画でしたが、特に最終話は、高橋矢太郎さんのパートのみならず、完成した原画がどれも奇跡のような完成度で。振り返ってみると、まさにお祭りのような時間を過ごせましたね。

──そんな熱狂の第1期を経て、いよいよ第2期の放送も決定しましたね!

はい。ただ現場スタッフとして第2期で続投するのは自分だけでしたし、新しいスタッフさんたちともお会いするのは初めてで。実は当初は「どんな方々だろう」と、不安だったんです。そんな中、みなさんとの初顔合わせ2日前に櫻井親良監督から誘いがあり、2人でお話をしました。初参加だった櫻井監督こそ不安でいっぱいだったらしく、お話しするうちにすっかり打ち解けて、意気投合しました(笑)。

──では、制作現場の雰囲気はいかがでしょう?

シナリオ会議には、僕も伺える限りは参加させていただいているのですが、とても盛り上がって意見交換しています。櫻井監督のジャッジの仕方がとても絶妙で、制作会社のJ.C.STAFFさんの力強さも感じています。アイデアを出し合いながら、いい作品を作ろうという気概にあふれたいい空気感の中で、スタートできたと感じていますし、『ワンパンマン』の新たな一面を作り出せる予感がしています。

PROFILE

久保田 誓(くぼた ちかし)
アニメーター、キャラクターデザイナー、作画監督として数々の作品に参加。キャラクターデザインとして『屍姫 赫』(OP作画監督も担当)、『新世界より』(作画監督も担当)、『ROBOTICS;NOTES』、映画『フリクレ プログレ』など。作画監督としては『天元突破グレンラガン』。『スペース☆ダンディ』、映画『時をかける少女』など。

<Blu-ray&DVD情報>


ワンパンマン Blu-ray BOX/DVD BOX
2018年12月21日発売!!
Blu-ray BOX 15,000円(税抜) DVD BOX 8,000円(税抜)
発売・販売:バンダイナムコアーツ

TVアニメ「ワンパンマン」公式サイト

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