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「イマレコ!」トップをねらえ2![特集サイト「プレイバックエモーション」]

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学園とロボットと巨大スケールの宇宙アニメ

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が大ヒットした今、「学園ものの要素があるロボットアニメ」の価値が高まった。数々あるその前例の中でも、『トップをねらえ2!』は別格の注目に値する作品である。

2004年から2006年にかけて発表された全6話のOVAで、物語は地球に対して猛攻を続ける宇宙怪獣に対抗する「トップレス」たちを描く。それは超常能力を発動させ、巨大なバスターマシンに乗って戦う思春期の戦士のことだ。当然その戦闘シーンが大きなみどころになるわけだが、大きな特徴はセンスあふれる斬新なデザイン感覚であり、それを縦横無尽に動かすアニメーションならではの柔らかく自由な作画表現だ。

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巨大な守護神バスターマシン、ディスヌフが飛来し、巡航形態から変形し、学ランを着た番長のような人型になる。思わず笑いそうになるが、決してギャグではない。キックやパンチを繰りだす格闘戦は重みとシャープな威力を兼ねそなえた迫力の見せ場を形成していく。そして闘いが進展すると、さらなる驚きが待ち受けている。トップレスに憧れて田舎から出てきた少女ノノが、等身大のまま宇宙怪獣を持ちあげ、イナヅマキックを繰りだして宇宙怪獣を撃破するのだ。その必殺技は、第1作でガンバスターが放ったものと同じだから、「どういうこと?」という疑問と期待が強く心に刻みこまれる。

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第2話以後も、衝撃の設定やビジュアルが次々に画面に登場し、予想もつかないビジュアルとともにストーリーが進んでいく。トップレスの少年少女たちはフラタニティと呼ばれる火星の衛星基地に集結し、互いにライバル意識をぶつけ合いながら、固有のバスターマシンを駆使して闘う。だが、大人に近づくにつれてトップレスの能力は失われていくという……。

アンドロイドでありながら「ノノリリ」という存在を追い、ラルク・メルク・マールを「お姉さま」と慕うノノ。第4話に至り、その謎をめぐって大逆転が描かれる。人類滅亡につながる惑星規模の大破壊と、激烈なるバスターマシンの戦闘シーン。その圧巻のバトルの中で、前作とまったく異なるテイストで始まった本作が、実は正統な続編であることが判明し、まさにトリハダものの瞬間が訪れる。以後は「友情」の本質が描かれるとともに、最終回ラストシーンは前作との大きな調和が提示され、さらなる感動を呼ぶ。

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とは言っても、娯楽的な要素が何層にも分厚く構成されているため、本作が先でも大きな問題はない。なぜならば中心に描かれるのは「あこがれ」「友だち」と普遍的な心情であり、「心こそが強さだ」と励ましのメッセージが伝わってくるからだ。2作目から1作目へと、逆順に鑑賞するのも良いだろう。

その第1作目のOVA『トップをねらえ!』は、『シン・仮面ライダー』で話題になっている庵野秀明の本格的監督デビュー作である。1988年から1989年にかけて全6話がリリースされ、圧巻の演出力とSF・アニメ・特撮を横断する教養をバックに展開する、壮大な物語で金字塔的な作品となった。

宇宙怪獣の脅威にさらされ、絶滅に瀕した地球。第1話の舞台はマシーン兵器のパイロットを養成する沖縄女子宇宙高等学校と、やはり「学園ものの要素があるロボットアニメ」として始まる。落ちこぼれだったタカヤ・ノリコは「お姉さま」アマノ・カズミへの憧れ、オオタコーチと出会うことで秘めた才能を開花させる。1作目、2作目と物語構造、ストーリー展開が共通しているのである。その響き合いから、「本質」がビビッドに発見できるのである。

そして制作年を追うことで、歴史的な位置づけを見いだすのも一興だ。本作の鶴巻和哉監督は1995年のTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』で副監督を担当(同・劇場版では監督)し、庵野秀明監督の片腕として活躍した。そして2000年のOVA『フリクリ』では原案と監督を手がけ、類例のない才能で大きな話題を呼んだ。思春期の少年の額からロボットが飛びだすような斬新なビジュアルと、巨大な異形にエレキギターで女性が立ち向かうダイナミックなアクション作画は、海外でも大きな話題を呼んだ。

本作『トップをねらえ2!』は『フリクリ』の方向性の延長にありつつ、「誰にも負けないほどの愛情を持つ1作目のファン」だった鶴巻和哉監督が自分の解釈で新機軸に挑んだ作品なのだ。ここでデジタル制作時代に何が出来るのか、どのように美しい画面が作り得るのか、作画や美術をアナログ時代以上に輝かせるノウハウを磨きあげた。それは2007年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』以後の4部作で、さらなる高みへと昇りつめていく。

30年規模で続くチームワークの醸成、テーマの継承、表現の研鑽といった様々な観点で、本作には今こそ確認すべき重要性が見いだせるのである。

text/氷川竜介(アニメ特撮研究家)

 

<上映情報>

『トップをねらえ!』2023年5月26日(金)より
『トップをねらえ2!』2023年6月9日(金)より順次劇場上映!
劇場情報はこちら

 

<発売情報>

トップをねらえ! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1836


トップをねらえ2! Blu-ray Box Standard Edition
好評発売中
税込価格:¥10,780
品番:BCXA-1837

 

▼『トップをねらえ!』シリーズInfomation Site
https://v-storage.jp/gunbuster/

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