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「イマレコ!-今コレをレコメンド!」『王立宇宙軍 オネアミスの翼』[特集サイト「プレイバックエモーション]

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日本から「セルアニメ」の制作文化が消えておよそ10年。アニメの制作は完全にデジタルへと移行し、新たなセルアニメが作られることはなくなったが、日本のセルアニメは世界でも非常に注目度の高い存在だった。特に80年代は『AKIRA』『機動警察パトレイバー 劇場版』『ヴイナス戦記』など、後世に語り継がれるハイクオリティな作画による劇場アニメが連発した伝説的な時代。日本アニメ界の歴史を変えた傑作『王立宇宙軍 オネアミスの翼』が公開されたのも87年、この時代だ。35年もの間アニメファンに愛され続けている本作は、セルアニメ最高峰とも言える圧倒的なクオリティの作画力を見せつけてくれる。

庵野秀明、貞本義行らが集結した、セルアニメ最高峰の作画

1984年に『王立宇宙軍 オネアミスの翼』制作のためにアニメ会社・GAINAXが設立された。(詳細は「名作ヒストリー」にて紹介)本作には庵野秀明、貞本義行、樋口真嗣といった、今や世界的に名をはせるクリエイターたちが制作に参加。数々のセルアニメの頂点と言えるべき、最高峰の作画クオリティを実現している。
喜怒哀楽、豊かな百面相を見せる主人公・シロツグを始めとする登場人物たち。服のシワ、配管や配線の1本1本まで綿密に描きこまれた背景美術。独創的なデザインであるがゆえに生まれる、リアリティ溢れる異世界の機械や設備の数々にも目を奪われる。
中でも本作において特に視聴者を魅了したのは終盤。庵野秀明が作画を担当した、一連のロケットの打ち上げシーンだ。軍の交戦から始まり、戦闘の爆発で破片となって飛び散る様々な部品、ロケットから噴出する煙の作画や落下していく氷片、とにかく瞬きすら忘れてしまう印象的な描写が数多く存在する。そんな中でも「伝説」としてファンの間で語り継がれているのは、やはりロケットが打ち上がる直前。ロケットの表面から剥離し重力に従って落ちていく無数の氷の破片が、1枚1枚手描きで描かれている、あまりにも緻密かつ精巧な作画シーンだ。デジタルアニメ最盛期の現代であれば間違いなくCGを使った表現となるだろう描写を手描きで、破綻なく魅せる美しさは圧巻の一言。スロー再生、時に停止しながら何度でも視聴したくなるだろう。

異世界×SFの先駆け的ストーリーと世界観

もちろん本作の魅力は作画の良さだけではない。現実の地球とは似て非なる世界観を基にした、宇宙開発がテーマのストーリーも、時代の先駆者としての役割を担った。
主人公は、オネアミス王国の“戦わない軍隊”王立宇宙軍に所属する、さぼり放題の兵士シロツグ。何事にも無気力だった凡人のシロツグが、ある日神の教えを説く少女・リイクニとの出会いをきっかけに、有人宇宙飛行の宇宙飛行士へと志願。王立宇宙軍の、ロケット打ち上げに向けた壮大なドラマが描かれる。お荷物部隊とすら揶揄された宇宙軍が総力を挙げてロケットの打ち上げに尽力する姿と、その中核となったシロツグの激動の日々は見る者に様々な共感を呼ぶだろう。また、シロツグとリイクニ、リイクニが保護する幼子・マナとの人間ドラマにも心を揺さぶられる。

壮大なストーリーを支える、「現実の地球とは似て非なる世界観」を表現した背景や、人々の営みも見どころの1つだ。
物語の序盤、シロツグが初めてリイクニと出会うオネアミスの街中は、アングラ感あふれるネオン街。現実の地球とは(似ているが)異なる言語が書かれた独創的なデザインの看板が並び、その多くはネオンの輝きに包まれている。科学による繁栄を続けているこの世界だが、まだまだ発展途上にあることを強く意識させられる。王立宇宙軍の秘密工場がある場所も印象的だ。近隣に工場が立ち並ぶ区画にあるようだが、秘密工場そのものは多種多様なスクラップだらけのゴミ山の中にひっそりと建てられており、まさに発展途上国といった雰囲気となっている。

そんな騒々しい街から一転、リイクニが暮らしているのは周囲に自然しかない、田舎と言うにも辺鄙過ぎる場所だ。あるものは家とわずかな街灯、それと線路の終着点くらい。賑わう街を描いた後に映されるこの喧騒と静寂の落差は、同時に人々の貧富の差でもあり、1つの背景に様々な情報が込められていることが分かる。

また、リイクニはこの世界独自の宗教の信者でもあり、今の人々のあり方に疑問を抱き、神の教えに沿って生きようとしていた。人類が火を手に入れたことで醜い争いや戦争が起きてしまったという内容は現実の地球と同じ、戦争の悲劇を繰り返すべきではないという警鐘にもなっている。有人宇宙飛行、人類の未来の開拓をテーマにした制作陣の平和への想いが、作品に表れているようにも思える。

80年代当時は、宇宙開発やロケット技術について描くストーリーが一般的にはややなじみの薄い題材であったかもしれない。しかし当時から30年以上が経過し、ついに民間人が宇宙へ行けるようにもなった現代。宇宙やロケットに対して視聴者の理解度や関心も高まったという意味でも、本作は再注目されるべきだと言えるだろう。

text/リワークス(加藤雄斗)

 

<公開情報>

2022年10月28日(金)より劇場公開!
劇場情報はこちら

 

<発売情報>

王立宇宙軍 オネアミスの翼
4Kリマスターメモリアルボックス
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc)【特別限定版】


15,000円(税込)/BDOT-0267

2022年10月28日:上映劇場にて最速先行販売
2022年11月4日:A-on STORE、A-on STORE プレミアムバンダイ支店、EVANGELION STOREにて販売
※特別限定版は数に限りがございます。無くなり次第終了となりますのであらかじめご了承ください。
※特別限定版は、上映劇場ならびにA-on STORE、A-on STORE プレミアムバンダイ支店、EVANGELION STORE 以外での販売は予定しておりません。



王立宇宙軍 オネアミスの翼
4Kリマスターメモリアルボックス
(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc)【通常版】


14,080円(税込)/BCQA-0016
2022年11月25日:一般流通にて発売

 


▼王立宇宙軍 オネアミスの翼 公式Twitter
@Honneamise1987 推奨ハッシュタグ:#王立宇宙軍

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