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「イマレコ!-今コレをレコメンド!」『プラネテス』(後編)[特集サイト「プレイバックエモーション]

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NHK Eテレにて毎週日曜 午後7時00分より放送中のTVアニメ『プラネテス』をイマレコ<-今コレをレコメンド!->!
漫画『プラネテス』をTVアニメ化するにあたって、より作品の魅力を増幅させるに至った新設定を前編・後編で紹介!

「デブリ課の新人タナベ・アイ」というキャラクター設定

漫画『プラネテス』をアニメ化するにあたって、大きく設定が変えられたもうひとつのポイントが、デブリ課の新人タナベ・アイの人物造形だ。
原作のタナベは、ちょっと神秘的な雰囲気を持った人物として登場する。やがて彼女は、捨て子である歳まで一切言葉を持たなかったということが明かされる。愛がすべてを救うという信念を持っているが、それは彼女が社会からすこしはみ出したところに生きているからだ。
一方、アニメのタナベは、ごく普通の人間だ。デブリ課に新入社員として入ってきたタナベは、すぐに「愛」を持ち出して、それで物事を測ろうとするが、それは彼女が頭でっかちの理想主義者だからだ。そして新人というのは、しばしば頭でっかちで理想主義者である。彼女は、空気を読むことが不得手な人物だが、別に社会からはみ出しているわけではない。
しかしだからこそ、アニメのタナベは、Phase11「バウンダリー・ライン」のような不条理に満ちたこの世の中にあって、「お前がいう愛は本物かどうか」を試されることになる。

ハチマキとタナベの物語

Phase24「愛」。テロリスト・宇宙防衛戦線のテロにより、月面に投げ出されたタナベと同僚のクレア。クレアは太ももを怪我して自力で歩くことができない。絶体絶命の状況に置かれたタナベは、クレアを背負い、計算上は酸素残量ギリギリで到達できるはずの最寄りの有人通信施設を目指す。けが人を置いていけばタナベは助かる。だが、タナベはそのような生き方ができる人間ではない。そしてけが人を担いで歩いた結果、予想よりもはるかに多くの酸素を消費してしまい、通信施設に辿り着く前に酸素不足のアラームが鳴り始める。

原作『プラネテス』は終幕に、主人公ハチマキの「愛し合うことだけがどうしてもやめられない」という言葉を置いた。
この言葉をハチマキにいわせるため、アニメは、原作に準拠しつつ、木星往還船「フォン・ブラウン号」の乗組員になるため、自らを研ぎ澄ましていくハチマキの姿を丁寧に描いた。そしてハチマキは、社会から距離をとり自分の内側へとどんどん掘り進んでいく。しかしその果てに、彼はついに内破して、自分なりに「世界のあり方」を体感する。ハチマキは、社会にあるものすべてが繋がって、自分を構成していることに気づく。

タナベに与えられた試練はこのハチマキの“内破”の過程と対になるエピソードといえる。そこまで突き詰めなければ、この不条理に満ちた世の中で、「愛し合うことだけがどうしてもやめられない」ということはできない。
TVシリーズ前半の、社会とそこに生きる人々を感じさせるエピソードの積み重ねは、このようにして主人公ハチマキと副主人公タナベの物語を裏打ちしているのである。『プラネテス』の魅力はそういう部分にある。

text/藤津亮太

<発売情報>

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<再放送情報>

2022年1月よりNHK Eテレにて毎週日曜夜7時~放送中

 


▼『プラネテス』公式サイト
http://www.planet-es.net/

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